好きな作家や漫画家を持つ
手っ取り早く文章を上達させたければ、好きな作家を持つことから始めればいい。
プロの作家たちもたいていそこから作家への道がスタートしている。
別にプロの作家を目指さなくても、これは非常に有効だと断言できる。
作家と言っても実に様々だが、別に小説家やビジネス書作家である必要はない。
漫画家でもいいのだ。
「漫画」と聞くと顔をしかめる人もいるかもしれないが、それは間違いである。
漫画というジャンルは出版業界でも花形中の花形であり、超大手と呼ばれる出版社でも飛び切りのサラブレッドたちが編集を担当している。
つまり、出版業界の最優秀層が漫画家と一緒に知恵を絞って創り上げているのだ。
私自身も物心ついてからいつも漫画を貪り読んできたが、そのおかげで小学生の頃から、
「攻撃は最大の防御なり」「如実」「彷彿」という言葉を日常で使っていた。
それは憧れの漫画で登場したからであり、
どんな場面でそれを使えばいいのかも一瞬で理解できたからだろう。
もちろんあなたが小説好きなら小説家がいいだろうし、哲学好きなら哲学者でもいい。
本書のようなビジネス書が好きであれば、それでいいから贔屓の作家を持つことだ。
ここで大切なのは、見栄を張って世間体を気にするのではなく、あなたの本心から好きになれる作家だということだ。
本心から好きな作家であれば、必ずその真似をしたいという衝動に駆られるはずだ。
その本能にそのまま従えばいい。
最初はそのまま写してもいいし、部分的に大好きなフレーズを抜粋してもいい。
私にも経験はあるが、自分の大好きな作家の文章を写したり抜粋したりするのは本当に楽しい。
心の底から興奮と感動が込み上げてくるし、生命力が漲ってくるのがわかる。
そうこうしているうちに、次第にその人になり切って書くことができるようになる。
ただの猿真似ではなく、「憧れのあの作家ならどう表現するか」と想像しながら書けるようになるのだ。
こういう贔屓の作家を少しずつ増やしていくと、あなた自身の個性も合わさって
あなた“ならでは”の独特の文体が完成するというわけだ。
まずはつべこべ言わず、堂々と憧れの作家の猿真似から入ればいい。
身近で一番“仕事ができる人”の文章を徹底的に分析し、
貪欲に真似をする
業種業界にもよるが仕事で文章を書く際には、小説家の文体では嫌悪感を抱かれることもある。
何を隠そう、私自身がそうだった―。
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