恋人からの愛情表現が減り、不安です

今回、牧村さんのもとには「恋人に愛されているか不安です」という女性からのお悩みが届きました。「どうやったら恋人も私を好きだと自信を持って思えるのでしょうか」と問いかける相談者さんに対して、牧村さんは日本社会ならではの生きづらさを指摘しながら、どうすれば幸せに近づけるかを一緒に考えていきます。


※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

最近めちゃくちゃフランス映画を見ているんですけど、面白いの。いろんなことが日本と反対なのね。

たとえば複数の映画に、「マドモアゼル(お嬢さん)?」「いえ、私はもうマダムよ!」っていう会話が出てくる。日本ではついこの間までみのもんたさんが銀髪の女性たちを「お嬢さん」と呼んで喜ばせていたわけですし、「おばさん」と呼ばれて怒ったり悲しんだりする女性の姿も見られるのですが、フランスだとしばしば逆。「お嬢さん」「いえ、わたしは一人の成熟した立派な女性よ!」と言い返すのね。

花占いも逆なの。「あの人はわたしのことが、すき、きらい、すき、きらい……」って唱えながら、花びらを一枚ずつちぎっていく占い、日本だと少女漫画の世界でしょ。フランスだとそもそも、漫画を読者の性別で分けるということ自体が不思議な異文化なんだって。だから、本屋さんの漫画売り場に行くと「Shojo」「Shonen」って日本語のままでジャンル分けされている。そしてフランス映画で花占いみたいなことするのは、少女とは限らず、いい大人の男性だったりするのね。「彼女は俺が、きらい、すき、大好き、狂おしいほど好き。きらい、すき、……狂おしいほど好きだって〜!?」……ほぼ「好き」しかない無意味な花占いをしてみせたあと彼女にガバッと抱きつこうとして、逃げられるの。笑っちゃった。

幼さよりも、成熟を。
大人の男も、少女のように。
ワインも不動産も古いほうが高貴とされるフランスを、新米や新築物件に値がつく日本から見るのは、それこそ新鮮で、とても興味深いことです。

遠くを見るの。もっと遠くに行きたくて。

今回ご紹介するのは、「恋人に愛されているか不安です」とおっしゃる女性の方からのご投稿です。

あなたが花占いの少女のように思い悩むのは、そのような女性像が表象される社会に生きているから、かもしれない。一緒に考えてみましょう。今いる場所を否定せず、それでも遠くを見るために。もっと自由になるために。

こんにちは、牧村さん。いつも牧村さんの力強く、そして繊細な文章に救われている者のひとりです。もしかしたら、同じような質問を何度もされているかもしれませんが、過去の記事の中にはなかったような印象を受けたので、質問を送らせていただきます。

私の悩みは、恋人から自分は好かれていると自信を持つためにはどうしたらいいのか、ということです。

私には6歳年上の同性の恋人がいます。私が32歳です。恋人が私を気に入ってくれて、グイグイアピールをされ、交際するに至りました。私は女性と付き合うのは初めてです。付き合い始めた頃は、メールや電話やベッド事情やら、とにかく恋人からの愛情表現の方が強かったように思います。そうしているうちに、気がつけば今では私の方が恋人が好きで好きでたまりません。

しかし、付き合いだした頃のような恋人からの愛情表現が最近は少なく、私はとても心配で不安になります。もしかしたら飽きられたのかな?とか、もしかしたら付き合ってみてはじめのイメージと違って冷めたのかな?とか、不安でいっぱいになります。でも、恋人はいつも「どうしてそんなに後向きなの?あなたが好きだよ」と言ってくれます。

相手を信じているし、恋人が私を好きかどうかよりも、私が恋人を好きだと自信を持って言えるので、何一つ悩むことなんてないのかもしれませんが、心の奥底では、恋人は年齢的にもそろそろ落ち着きたいから私を選んだのではないだろうか、実は私のことはそれほど好きではないのに付き合ってくれているのではないだろうか、、、と常に不安になってしまいます。

恋人から常に好きだと言われたいわけではありません。それに、相手が自分を疑いながら付き合っているなどと恋人に気づかれたら、それはそれでとても相手に失礼なことだと思います。しかし、どうやったら恋人も私を好きだと自信を持って思えるのでしょうか。何かアドバイスをお願いできたらと思い、相談させていただきます。
(全文そのまま掲載しました)


ねえ、フランス映画観ましょ? そんで、自分から愛情表現しましょ!

以上、一行アドバイスでした!!!!!!

いや、ね、普段この連載ではわたし、アドバイスってしないの。そもそもcakes上でズバッとアドバイスが欲しい人は、たぶんフェル先生のさわやか人生相談に行くもんね。まきむぅじゃなくて。でもなんかこちらのご投稿の場合は、一行で言いたくなっちゃった。わたしがした経験とあまりにも近いと思ったの。

あなたはね……いや、現代日本社会で女性とされて生きるわたしたちはね、花占いの少女に“させられている”のよ。

女は受け身。王子様のキスを待ってる。そういうことに“されている”のよ、まだ、この社会で。ナンパなんかしたらいちいち「逆ナンパ」呼ばわりされるでしょ。女性誌の表紙には「愛され」という受け身の言葉が並ぶ。

恋する乙女は、花占いの少女。

そういう振る舞いが、あなたに、最初からインストールされてるアプリみたいにね、ずーっと入ってるのよ。だからあなたは待ってしまうんだと思う。でも大丈夫。あなたは、自分で動けるから。違うアプリも、ダウンロードできるから。

わたしもねえ、20代前半だったかな、「なんでセックスしてくれないの!?」って号泣したことあるのね。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

ReeeeiJessica これ、余計な文長いけど()彼氏彼女に愛されてるか不安がある人に読んでほしい 4ヶ月前 replyretweetfavorite

kiki85641279 いいなぁ牧村さんの記事。いつも良い。公平で裏表がなく自由で真っ当で。 https://t.co/YS9RH1TNyE 4ヶ月前 replyretweetfavorite

Cest_La_Vie97 素敵なコラムだった。JALカードの審査に落ちて根に持っているのは笑ってしまった。優しくも本質を突く繊細な言葉遣いに惹かれて7年以上も読み続けている。 4ヶ月前 replyretweetfavorite

gami_co https://t.co/v0lmHEX7HP 4ヶ月前 replyretweetfavorite