会社を使い倒すと、仕事はもっと楽しくなる。

ぬいぐるみをおしゃべりにするボタン型スピーカー「Pechat」(ペチャット)などの開発・販売で知られる博報堂の異色プロジェクト「monom」(モノム)。代表を務める小野直紀さんは、転職でも起業でもなく、「会社を使い倒す」ことで、自分のやりたいことを実現させました。「会社で自分のやりたいことができない」と悩んでいる方は必見! 話題の書籍『会社を使い倒せ!』をcakesで無料公開します!

「もう広告はやりません」

 自分でも思いきったことをしたなぁと思います。

 今から4年前、入社7年目のときのことです。どうしても会社でやりたいことがあり、僕は役員に直談判に行きました。

 そのプレゼンテーションのスライドの1枚目に、たった一言、こう書いたのです。


 「辞表」


 さらに次のページには、こう書きました。


 「もう広告はやりません」


 僕が勤めているのは、創業120年以上の歴史を持つ総合広告会社・博報堂です。

 広告会社の事業は、商品やサービスを広く生活者に知ってもらうマーケティング活動をすること。

 そんな会社で、「もう広告はやりません」なのですから、役員も驚いたと思います。

おまけに最初のページには「辞表」の2文字です。

 ただ、これは正直な気持ちでした。できないなら会社を辞めようと思っていました。

 もっと言うと、そのくらいじゃないと、会社に自分の覚悟が伝わらないと考えていたのです。

 僕が会社に働きかけたのは、「博報堂でモノづくりをする」ということでした。

 博報堂は広告会社なので、自らモノづくりをするというのは、前代未聞のことです。

 でも、僕はどうしてもやりたかった。博報堂だからできるモノづくりがあると思ったからです。


 こうして生まれたのが、僕が代表を務めるプロダクト・イノベーション・チーム「monom」(モノム)です。

 今、僕は広告会社・博報堂でモノづくりを仕事にしています。

 すでに、お気に入りのぬいぐるみをおしゃべりにするボタン型スピーカー「Pechat」(ペチャット)を「発売元:(株)博報堂」として販売し、新聞やテレビでも大きく取り上げられました。

 世の中の人にとっては、メーカーがつくろうが、博報堂がつくろうが、あまり関係ないのかもしれませんが、一部の人たちには大きな驚きを持って受け止められました。


「Pechat」(2016)
博報堂初のデジタル製品「Pechat」。専用のスマホアプリと連動することで、
ぬいぐるみを通しておしゃべりができるボタン型のスピーカー。


自分が本当にやりたいことと、会社を掛け算する。

 現在、12名のメンバーがいるmonomがめざすのは、人と時代に寄り添った「半歩先の、未来の風景をつくること」です。そこに、広告会社がモノづくりをするという新しい取り組みの可能性があると考えています。

 広告会社とモノづくりは、異質なものの掛け合わせです。

 僕は、こうしたふたつの異質なものの掛け合わせが新しい価値を生み出すと考えています。実は僕自身のキャリアも同じでした。

 例えば、「今いる会社では自分のやりたいことができない」と感じている人も多いのではないでしょうか。

 でも、それこそが、異質なものを掛け合わせるチャンスなのです。

 自分が本当にやりたいことと、会社を掛け算する。そうすることで、自分にとっても、会社にとっても、新しい可能性が生まれるのです。

 もちろん、自分がやりたいことができる会社に転職する、という選択肢もあるでしょう。また、自分で起業する、という選択肢もある。

 しかし一方で、会社にいながらにして自分のやりたいことを実現する、という選択肢があることを、ぜひ多くの人に知ってほしい、と思います。

 会社の中には、人、資金、ネットワークなど、多くの利用価値のあるものが溢れています。それらすべてを、全力で、前向きに利用して、自分のやりたいことを実現させるのです。「会社を使い倒す」と言ってもいいかもしれません。

 実際、僕が取り組んだのは、そういうことでした。そして、「広告会社でモノづくり」という前代未聞を実現できたのです。


 今やどの業界も、激しい変化にさらされ、先の見えない過渡期を迎えています。

 これからどうやって未来に向かうべきか、多くの会社が模索し、さまざまな取り組みをはじめています。

 自分がやりたいことと会社という新しい掛け合わせは、そのひとつのヒントになるかもしれません。結果的に、自分のやりたいことができる社員にも、新しいことを模索している会社にも、双方にとってメリットがあるからです。


 ただ、もしかすると、まだ自分でもやりたいことがはっきりしていない、という人もいるかもしれません。

 僕自身も、はじめから博報堂のなかでモノづくりをしたいというイメージがあったわけではありません。たくさんの紆余曲折を経て、次第に自分のやりたいことが明確になっていったのでした。

 広告会社でモノづくり、などということがどうしてできたのか。

 やりたいことがなぜ実現できたのか。

 そのことを書いてほしいと言われ、生まれたのが本書になります。そして、本書をまとめるにあたって、大きく2部で構成したいと考えました。

 「STAGE1」は、僕がどうやって、本当にやりたいことを見つけたのか、という話です。

 やりたいことが見つからない、やりたかったことと違う仕事に就いてしまった、やりたいことは今いる会社にないんじゃないか……。そんなふうに思っている人に読んでいただければと思います。自分が本当にやりたいことを見つけるヒントになるかもしれません。

 「STAGE2」は、見つかったやりたいことを、いかに会社で実現していったか、という話です。

 もちろん、すんなりといったわけではありません。さまざまな試行錯誤をしながら、僕がどのように動いていったのかを紹介できればと思います。

 もうすでにやりたいことがある、という人は、STAGE2から読んでいただいてもいいかもしれません。

 うまく使えば、会社は本当に楽しい場所になります。そしてやりたいことを貫けば、むしろ会社から求められるようになります。そのことを多くの人に知っていただけたらと思います。


※次回「回り道すると、視野が広がる。」は2月12日(火)更新予定です。


=刊行記念イベント開催決定!=


□『会社を使い倒せ!』刊行記念イベント その2
小野直紀 × 嶋浩一郎 × 上阪徹
「僕らはこうやって会社を使い倒した」

日時:2019年2月15日(金)20:00~22:00
会場:本屋B&B(東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F)
※詳細・ご予約はコチラからどうぞ。


□『会社を使い倒せ!』刊行記念イベント その3
小野直紀 × 三浦崇宏 × 上阪徹
「会社を使い倒して自由に働く」

日時:2019年3月2日(土)14:00~16:00
会場:有隣堂 アトレ恵比寿店(東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 アトレ恵比寿5F)
※詳細・ご予約はコチラからどうぞ。

みなさまのご参加、お待ちしております!


全国書店にて好評発売中! 注目の博報堂クリエイティブディレクターによる、会社を辞めずに「やりたい」を仕事にする方法!

会社を使い倒せ! (ShoPro Books)

小野 直紀
小学館集英社プロダクション
2018-12-20

この連載について

会社を使い倒せ!

小野直紀

会社で「自分のやりたいことができない」と感じたら、どうしますか? 広告会社の博報堂に勤めながら「モノづくりをしたい」と考えた小野直紀さんは、辞めて転職するのでも、起業するのでもなく、あえて会社に残ることで、人・資金・ネットワークなど、...もっと読む

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コメント

MiUPa #SmartNews 馬鹿と会社は使いよう https://t.co/vxUVFqY3S2 9ヶ月前 replyretweetfavorite

tanakadesushi #スマートニュース 9ヶ月前 replyretweetfavorite

nodoobake 身近な人で子供ができたら絶対あげたいと思っていたものが、博報堂様企画のものだった。 9ヶ月前 replyretweetfavorite

newpapalife この本とても読みたくなった。広告人が手掛けるモノづくりに、興味がある。 9ヶ月前 replyretweetfavorite