前回の興奮も冷めやらぬまま、「あっもう芥川賞・直木賞発表か……」なんてつぶやきたくなりますが、それでも年に2回のお祭りですから。やっぱり読むのが楽しみ、勢いのままに本屋さんへレッツゴーでございます。
「え~芥川賞二作あるのか、どっちか読んでみようかな~」「直木賞分厚くね? 読めるカナ?」なんて迷うあなたに向けて、今回の受賞作品の見どころをお伝え! します!
【芥川賞】
システムの不具合だらけの「人間」を、私たちはゆるせなくなるのか?
「ニムロッド」上田岳弘
(『群像』12月号所収)
読みはじめたら、「ブロックチェーン」とか「Slack」とか「仮想通貨」なんて言葉がひゅんひゅん飛び交うことに驚くかもしれない。芥川賞というと古めかしいイメージがあるかもしれないが、「ニムロッド」のノリはNewspicksや日経新聞あたりで連載されてそうな感じ、と言えば伝わるだろうか。実は作者、ベンチャー会社を立ち上げて現在役員さんらしい。だからこそ、「仮想通貨をテーマにした小説」という側面と同時に、「IT業界に今最前線で携わってる人が見てる世界」を小説にしたことも本書の功績だと思う。
なんせこの小説は、
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