自動車は関税なしでもへっちゃら
では、日本はどのようなものに関税をかけているのでしょう。
日本は自動車などの製造業が強い国です。日本の車メーカーは世界に誇るブランドで、日本人も日本車を好んで乗ります。だから、外国産の車が入ってこようとも、日本国内の自動車産業に影響はない、と考えられています。そのため、日本に入ってくる自動車や自動車部品などには関税はかけられていません。
このように自動車に関税をかけていない国は世界的に見てもけっこう珍しいのです。乗用車を例にとってみると、たとえば韓国は8%、アメリカは2・5%、中国は25%、インドにいたっては125%の関税をかけています。車は単価が高いので、たった数%の関税でも、販売価格に大きな影響が出てしまいます。300万円の車に5%の関税をかけただけで15万円値段が上がりますからね。こうしてみると、自動車の関税が0%というのは、日本は車に関しては非常に強気だということがわかります。
農業はディフェンス
その一方で、日本が高い関税をかけているのが農産品です。日本は農産品に高関税をかけて、国内の農業を守ろうとしています。
日本の農業は高齢化が進み、規模が小さいことが多いのですが、その一方で、外国の農業は規模が大きく、広大な土地で機械を使い、大量生産をしています。
一般的にいって、大量生産をすると、販売価格が安くなります。何でもそうですよね。服でもお菓子でも、「一点もの」とか「手作り」よりも、工場で生産しているもののほうが安いです。「一点もの」とか「手作り」とかのほうが、高級感があっていいかもしれませんが、価格の面では、大量生産のほうが安くなる傾向にあります。
となると、細々と作物を作っている農家よりも、トラクターなどの機械を駆使しながら大量生産している農家の作物は安くなります。つまり、日本の農産品は価格面で負けてしまいます。だから、日本に輸入される農産品には関税をかけて、外国から安い農産品が大量に入ってくるのを事前に食い止めることで、国内の農家を守っているのです。
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