温かい宿主との出会いに感動
下甑島は甑島列島の最南の離島。上甑島と中甑島は橋で結ばれていますが、中甑島と下甑島・鹿島地区の藺牟田(いむた)集落を結ぶ橋は未だ建設中のためフェリーでアクセスします。「藺牟田瀬戸架橋」の完成は2年後の2020年とのこと。完成後には3つの離島がひとつに結ばれアクセスが格段に楽になるので、甑島列島を旅したい人は要チェックです。
私は2016年7月に甑島列島を巡る旅で訪れました。上甑島からの最終便のフェリーに乗り、下甑島の長浜港へ到着したのは19時を回った頃。宿泊した民宿「浦島」は瀬々野浦という長浜港と反対側の集落にあり、港からはバスを使って移動しました。小さなコミュニティバスの乗客は私ひとり。途中で日が落ち、想定よりずいぶんと長く感じられた道中は、まるでネコバスにでも乗せられたような心細さを覚えました。
やっと着いた瀬々野浦のバス停では民宿のご主人が待っていてくれて、宿ではお母さんが「お腹がすいたでしょう」と夕飯を用意してくれていました。話を聞いてみると、道中がやけに長く感じられたのは、少し離れた内川内(うちかわうち)という小さな集落へ立ち寄ったからとのこと。確かに途中でしばらく停車していたような気も……。内川内は下甑島の中でも最秘境の集落で、平均年齢約80歳、20世帯強が暮らしています。乗客がいることはほぼないけれど、それが通常のルートなのだそうです。
内川内集落。下甑島の中でも再秘境の集落で、勾配のある斜面に形成され、集落内の道は狭いです
滞在した民宿「浦島」がある瀬々野浦は島の西側にあり、夕陽が美しい集落。「浦島」の2階の食堂からもきれいな夕陽を眺めることができます。海上にそびえ立つ高さ127mの「ナポレオン岩」や、夕陽が落ちるとローソクに見える「ローソク岩」も有名です。
宿泊した瀬々野浦の民宿のすぐ目の前に位置する「ローソク岩」
島内の移動にはレンタカーを利用したかったのですが、繁忙期のため2泊3日滞在のうち1日しか予約できず困っていると「浦島」のご主人がうちでもレンタカーあるよと、車を貸してくださいました。とても気さくなご夫婦で、滞在中は本当にお世話になり、楽しく談笑をして過ごしました。
地層の断崖と55mから三段で落ちる滝
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