自分で決めたルールだから価値がある

アキとユウカは一緒に旅に出た。冬の寒い朝、自分でもありえないと思えることをやるのが、輝かしい未来を手に入れることだと信じて。

空は薄ぼらけだったが、てっぺんの雲は、まだ直接見えぬ朝日に照らされて、光り輝いていた。

六甲山の中腹の空気はとても冷たく、つんざくような鳥のなき声も、山間をこだまして鳴り響く。

ユウカは自分の吐く息を手にあて寒さをしのいでいたが、アキはもう慣れているのか、テキパキと戸締りをして、車庫からロードスターを出そうとしていた。

「ユウカ、忘れ物はない?」

「そもそも、荷物なんかないですよ」

「そう、いい答えね」

ロードスターにエンジンをかけるとブロロと低音を車庫に響かせる。ピッとリモコンで車庫の扉を開けると、真正面、太陽がのぼる瞬間に出くわした。

まぶしすぎる太陽が私たちの未来を照らしてくれるような気がした。

「レッツゴー」

アキが一言つぶやくと、車は勢いよく車庫から飛び出した。

エンジンの音を軽快に響かせ、アキは慣れたドライビングテクニックで山道をすごい勢いで降りていく。

アキは携帯を取り出し、片手で音楽を探した。そしてブルートゥースで車内のスピーカーにつなげると、大黒摩季の「ら・ら・ら」が流れ出した。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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