スイーツ(笑)な死よ、来たれ
スイーツ(笑)
このフレーズでこめかみに『AKIRA』の鉄雄最終形態ばりに青スジが浮いたあなた、おそらくアラサー以上のヘビーネットユーザーですね。そう、かつて女はインターネット上でこう呼ばれていた。スイーツ(笑)とは甘味や菓子を笑っているのではなく、女性への蔑称である。甘い物をスイーツと呼び愛好している主に若年層の女性を馬鹿にする意図でこのフレーズは生まれた。最近はさすがに廃れたようだが、この蔑称に含まれる、流行やかわいいものキレイなものに敏感で休日は話題のカフェやテーマパークなどに出かける女性たちを揶揄する思想は今も脈々と残っている。Instagramユーザーへのデマまで使った過剰なバッシングやナイトプールでの嫌がらせ行為などにその片鱗が見てとれる。(ちなみにスイーツ(笑)というフレーズが廃れてネットでの女性蔑視が無くなったのかといえばもちろんそんなことはなく、最近はいかな私でも書くのを憚られる「女性器の蔑称」で女性全般を呼ぶのがクソ野郎共のスタンダードとなっている。THE・悪化。人類は後退している)
酸いも甘いも噛み分けない
さてこのマクラで今回はカラダの何について話すかというと、舌です。ベロ。会社なんかで「女の子は甘い物好きでしょ」とか言われて全国に千種類くらいありそうな「ジェネリック萩の月」をお土産として貰ったことありませんか。まあ美味いですよ。ふわふわスポンジにまったりクリーム。オヤツに最適な一品ですけど、気になるのはその前段階、「女の子は甘い物好きでしょ」の部分だ。よしんばほんとに甘い物が好きでも「別に……」と内なる沢尻エリカを召喚したくなってしまうこの雑な決めつけ。確かに女の子は甘い物が好きな人が多い。おばはんだって好きだ。しかし男の子とかおっさんだって甘い物が好きな人はいっぱいいるのだ。味覚に性差なんかあるかいな。私の実父など酒は一滴も飲めず将来は和菓子で出来たお菓子の家(数寄屋造り)に住みたいと日々夢見ているような男だ。娘の私はジャーキーとかアタリメとかコノワタとかさけるチーズで出来てて蛇口から芋焼酎が出てくる家に住みたいし、たまに親父んちに遊びに行って「那須の月」(栃木が誇るジェネリック萩の月)を相伴したりもしたい。そういう甘党男子、辛党女子は全国にいくらでも存在しているはずだ。身近にいる女子は全員甘党でご飯にハチミツ掛けて食っていて男子は全員酒とブラックコーヒーと唐辛子しか食ってませんなんて人はいないだろう。味覚なんて人それぞれだって、みんな実感として分かってるはずなのに。
法廷で食いましょう
味覚って当たり前にパーソナルで、そこに育った地域とか環境などの外的要因が重なってさらに個性的な味の好き嫌いが出来上がっていく。
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