三山ひろしは今、蓄音機の修理に励んでいる
三山ひろしのけん玉世界記録達成はとにかく喜ばしく、前回の紅白でチャレンジに失敗した三山に対し、ブログのプロフィール欄に「特技:竹とんぼ製作」とあるのだから、次回は竹とんぼに移行するべきではないか、などと偉そうに記した自分は、テレビの前でしきりに反省した。もはや何かに挑戦しなければならない役どころとなった三山だが、けん玉成功の翌年は、再びけん玉でいくのか、それとも、次こそ竹とんぼに移行するのだろうか。もう一つの特技である「裁縫」で、何がしかに挑戦する可能性もある。年が明けてから彼のブログを見ると、昨年末から続けてきた蓄音機の修理に引き続き励んでいる。これは、今年の紅白に向けての何らかのメッセージなのだろうか。紅白出演時、彼の着物には「我が成すことは我のみぞ知る」と記されていた。
すっかり、演歌勢が誰かを引き連れないと登場できなくなってしまった。石川さゆりは布袋寅泰、天童よしみは筋肉体操、丘みどりは畠山愛理、坂本冬美はダンスチーム、氷川きよしは和太鼓パフォーマンス集団、五木ひろしはDA PUMP・TWICEなど、山内惠介は刀剣男士、北島三郎は北島兄弟と、とにかく別の人的要素がなければ登場できない。当然、演歌歌手それぞれは自分だけで歌いたいに決まっている。「あいみょんの後ろに天童よしみ」「EXILEの中に五木ひろし」と想像してみれば、即座にあり得ないと結論づけられるが、「五木ひろしの後ろにDA PUMP」的な現実にいつから慣れたのかと問われれば、私たちの多くは「うーん、いつの間にか」とモゴモゴ答えるのではないか。
水森かおりはなぜ豪華衣装を着なかったのか
今回の紅白で大きく失望したのは水森かおりの演出だった。ご存知の通り、このところ、毎年豪華衣装を披露してきた水森だが、ただただ豪華衣装で歌うというシンプルなスタイルが、豪華衣装に付加価値をつけて「対決」として煽ってきた小林幸子と美川憲一(と、それを論評する和田アキ子)の記憶を薄める大切な役割を果たしてきた。水森かおりの「地味な豪華衣装」という語義矛盾は、別の人的要素を必要とする昨今の演歌歌手の定則に抗ってもいたわけだが、今回は豪華衣装ではなく、世界的イリュージョニストのメイガスとのコラボレーションを選んでしまった。
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