天岩屋戸(あまのいわやど)②
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あまりの乱暴にアマテラスは怒って、天岩屋戸の中に入って岩戸を閉じ、引きこもってしまいました。
そのために、国中が常闇(とこやみ)となって、昼夜の区別もなくなりました。この事態に、八十万(やそよろず)※1の神々は天(あめ)の安(やす)の河原※2に集まって、どう祈ったらアマテラスが天岩屋戸から出てきてくれるか相談しました。その会議で、知恵者のオモイカネ(思兼神/おもいかねのかみ)が深慮遠謀をめぐらして手筈を決めました。
まず、常世(とこよ)の長鳴鳥(ながなきどり)を集めてきて一斉に長鳴きをさせました。次に、力持ちのタチカラオ(手力雄神/たちからおのかみ)を岩戸の脇に立たせ、アマノコヤネ(天児屋命/あまのこやねのみこと)とフトタマ(太玉命/ふとたまのみこと)が、天香山(あめのかぐやま)※3の青々とした榊(さかき)の木を掘り起こしてきて、上枝に五百箇御統(いおつのみすまる)の飾りを掛け、中枝には八咫鏡(やたのかがみ)※4を掛け、下枝には、青い麻の和幣(にきて)※5、白い木綿(ゆう)の和幣を垂らして、神々が共に、アマテラスが出てくるように祈りました。
そして、アマノウズメ(天鈿女命/あまのうずめのみこと)が、魂を鎮めるために茅(かや)で柄を巻いた矛(ほこ)を持って、天岩屋戸の前で巧みに滑稽な仕草をしたり踊ったりしました。神の意志を聞くために天香山の榊の枝を髪飾りにし、蘿葛(ひかげかずら)※6をたすき掛けにして、篝火(かがりび)を焚き、伏せた桶の上で、神がかり※7して語り踊ったのです。
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