仕事で「女じゃ話にならん、男を出せ」と言われました

週刊SPA!が掲載した「ヤレる女子大学生RANKING」が物議を醸しています。多くの女性が怒りや屈辱を感じているなか、牧村さんのもとには、女性であるがゆえに不当な扱いを受けた女子大生からのお悩みが届きました。牧村さんは相談者さんの心に寄り添いながら、性差別の本質をずばりと突いていきます。


※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

女子はコミュ力が高いから男子が不利にならないように補正してあげなきゃと思ったんです

実名、ヤレる女子大生ランキング!あれっ、これ、購入してくださった読者の皆様の気分を害する可能性のある特集になっちゃいました?ごめんなさい

いずれも性差別についての謝罪を意味は変えず口語体にしたものですが(原文はリンクからどうぞ)、すごいよね、謝ってなさすぎてウケる。

冗談きついでしょ。「だって女の子の方ができるからしょうがないじゃん!」とか。わざわざ「購入してくださった読者の皆様」に限定した上で、「気分を害する」程度の気持ちの問題だということにして、大学名を実名で掲載することに伴う出版社としての社会的責任から逃げるこの態度とか。実名掲載により、たとえばそれぞれの大学に学生を「ヤレる女子大生」扱いする人間が近づいてきてしまうリスクを生む、言い換えればその大学の学生に対する侮蔑や性犯罪を誘発するわけでしょ。その掲載責任を「(取材相手の)体感に基づくデータ」と、あろうことか取材相手になすりつける。謝罪じゃないじゃん、自己弁護じゃん。なにこれ。私、笑っちゃうほど怒ってます。

それは私が、女だからだといわれるんでしょうか?

私が「感情的で論理性に欠けるヒステリー女」で、「女性差別には声を上げるくせに男性差別にはだんまり」だからだ、と、いわれるんでしょうか?

「ま〜ん(笑)」で済ませたければどうぞって感じですが、ちゃんと考える人とは一緒に考えていきたいです。これらを私は「女性差別に怒る女」としてではなく、人間として考えたい。男とか女とかの前に、「人間が自分よりも下の存在を見下すことを必要としてしまう弱さを抱えた生き物であること」について考えたい。なぜなら私自身も、そうした弱さを抱えた、人間であるからです。人間が自分の弱さから逃げ、自分を強いと思い込むための攻撃をする上で、その標的にされやすいのが、女性、また女性に限らず年少者、目下の人だと思うからです。

こんな世の中で、それでも「私の夢はばりばりかっこよく働くこと」と、クレーム対応のアルバイトをなさっている学生さんからのご投稿をいただきました。今回はこのお話を元に、考えていきたいと思います。

牧村さん、こんにちは。いつも涙をにじませながら記事を拝読しています。牧村さんの文章がだいすきです。

私はとある企業のお客様相談室でアルバイトをしている大学生です。クレーム対応が得意で、バイト先では仕事ぶりを評価していただいています。 今日は、バイト先での悔しい経験を聞いていただきたくて、投書をさせていただきました。退勤するなり涙が出て、誰かに聞いてほしいと思ったとき真っ先に思い出したのが牧村さんでした。

それは50~60歳くらいの男性からの入電で、私が名乗った瞬間、彼は言いました。 「きみ女性?女じゃ話にならないから男を出せ!」

どうにか私に対応させてもらえるよう説得しても聞く耳を持っていただけず、「小娘にはどうせ分からない」の一点張り。様子がおかしいことに気がついた男性の先輩が電話をかわってくださり、ようやくお客様は用件を話し始めたようでした。

これまでも、「私が若い女だから」汚い言葉をぶつけられることはありました。「俺のザーメン飲めよ」とか「きみのパンティー履きたい」とかいった具合です。私を性の対象にするような電話は、ひどく不快ではありましたが、変な人にあたっちゃったな~と思うだけで私の心を動かすにたる衝撃はありませんでした。

でも、今回はとてもとても悔しく悲しかったのです。「女じゃ話にならない」と言ったあの男性の声が、いまも耳から離れません。どうして私は、女だからという理由で仕事をさせてもらえないのでしょうか。どうして自分では変えることのできない性質を根拠に「こいつじゃだめだ」と規定されなければならないのでしょうか。

少し昔の話をしますが、私の夢はずっと「ばりばりかっこよく働くこと」で、そのためには男性に生まれた方が得だったと思いながら生きてきました。男性にもきっと「男だから」と押し付けられる理不尽がたくさんあります、それでも、私が私の人生を生きるうえで大切にしたい仕事というものを、女だからという理由で取り上げられてしまうなら、私はやっぱり男性に生まれたかったと思ってしまうのです。

牧村さんがおっしゃっているように、性別というけったいなラベリングをなされる前から、わたしたちは1人の人間です。だから「男性」を羨んでこんなふうに考えてしまうのは愚かなのかもしれません。でも、きっとこれからも「私が女だから」過小評価されることもあるのだろうと思うと、どうしてもやりきれない気持ちになるのです。

質問でもないうえ、言いたいことがまとまっておらず、すみません。お読みいただいてありがとうございました。 これからもますますのご活躍を楽しみにしています。

(全文そのまま掲載しました)

お話を聞かせてくださって、本当にありがとうございます。
素敵な方と働いていらっしゃる、素敵な方だなと思いました。

「女じゃ話にならん、男を出せ」だなんて言われても、ご投稿者の方は「どうにか私に対応させてもらえるよう説得」なさった。そんな姿を見ている人がちゃんといて、「様子がおかしいことに気がついた男性の先輩が電話をかわってくださり」、ことなきを得た。見事です。美を感じるほど見事に機能している職場ではありませんか。

そういう人間関係を、築けているんでしょうかね。

「女じゃ話にならん、男を出せ」なんておっしゃったその方は、築けているんでしょうかね。

あの……なんていうか、

言ってみたかったんだろうな感すごい。

「女じゃ話にならん、男を出せ!」
「君では話にならん、店長を出せ!」

こういうの要するに、「自分には権力がありま〜す!」っていうアピールでしょ? 「つよいぞ〜!」って。いや〜、言ってみたかったんだろうね〜この、「女じゃ話にならん!」ってやつ。しかしその、てめえのロールプレイにお客様相談室を付き合わせんなよって話ですけど。フリーダイヤルで

こういう時に私が心の中で唱えるのがね、エッセイ『ハッピーエンドに殺されない』に書いた通り、この呪文なんです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

3_libra_a 軽やかでうつくしい。私もその言葉唱えよう。 --- 6ヶ月前 replyretweetfavorite

TomoShio74 「そこからわたしを傷つけられると思わないで。あなたは自分の周りの… https://t.co/lWb9Khpums 6ヶ月前 replyretweetfavorite

mitake_coo ほんとそう。小さな世界に閉じ込められた恥ずかしい他人に、閉じ込められるのは悲しい。 6ヶ月前 replyretweetfavorite