殺された記者が残した暗号と、マルコスの山下財宝との符合とは?

【第16回】
難解だった暗号が解けていく! 「AAF PRS XI BATAC」という三つの文字が表すのは、ピープルズパワー革命で祖国を追われたマルコス大統領を救出したアメリカ空軍の作戦を表していた。そしてその代償となったのが、旧日本軍が残した山下財宝だった。連続殺人の真相が、いま明らかになろうとしている!

究極の伝奇ロマン&暗号ミステリー!

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ウィーンで殺害された記者が残したメモは二つあった。

AAF
PRS XI
BATAC

CRIS
YG F
SKL O GW

である。

そのあとパリの同時多発テロが起こり、

AAF
PRS XI
BATAC

が、

Abdelhamid Abaaoud & Followers(アブデルアミド・アバウーとその追随者)
Paris 11(パリ十一区)
Bataclan(バタクラン)

を意味する可能性が高いことをNSAのコンピュータが弾き出したことから、イスラム過激派との関係が疑われた。

鈴木が呼ばれたのはその後である。
その時点ですべての解析をやり直すべきであった。

それを怠って一つ目のメモが何を意味するかは決まったものとして扱ってしまったことが自分のミスである。

BATACとは、マルコスの故郷、フィリピンのバタック(Batac)そのものだったのかもしれないのである。

殺害された記者は独裁者の情報を追いかけていた。マルコスはフィリピンの独裁者として『王と独裁者』の草稿にも登場している。

処刑スタイルで殺害されていたこととパリの同時多発テロがイスラム過激派を印象深いものにしてしまったが、単に記者の行動、特に、『王と独裁者』の執筆に仕事の重点を置いていたことを考量すれば、むしろ独裁者に関連したことに焦点を合わせるべきであった。

独裁者もテロリスト同様に残酷な人種である。記者は独裁者の残した金塊に関する話を追いかけていたのだろう。

正式な取材旅行としてではなく私的な旅としてウィーン入りしたことも、その目的が自分の本に関連したこと、特に金塊に関する情報集めであったとすれば納得できる。

だとすれば二つのメモも金塊に関することに違いない。だからこそ、はっきりとした文章ではなく暗号のようなメモを残したのだ。

記者が追っていた独裁者の遺産は、ナチスの金塊と山下財宝だった。
記者のメモのそれぞれがこの二つの隠し資金と呼応していると考える方が自然である。

イメルダは山下財宝について一九九二年に公言している。恐らくそれは、すでに山下財宝がもともとの隠し場所には存在しないことを意味するのだろう。まだ隠されていたとすればお金好きのイメルダが公表するはずがない。

マルコスはアメリカに頼っていた。

亡命前日の午後三時、アメリカ上院議員ポール・ラクサルトに電話を入れて最後の援助を願い出ている。しかし、ホワイトハウスの返答は冷たかった。結局、マルコスは亡命を余儀なくされた。一九八六年二月二十五日、レーガン政権第二期の時代である。

マルコスの亡命はマニラからだった。

側近を伴ったマルコス一家はアメリカ空軍の用意したシコスルキーHH-3E型のヘリコプターに乗り込み、クラーク空軍基地で空軍のC-130機に乗り換えるとグアムのアンダーセン空軍基地に飛んだ。そこからハワイのヒッカム空軍基地へと逃れたのである。

民主革命が進んでいるフィリピンから苦労してマルコスを逃がす利点はアメリカ側にはなかった。それでもマルコスの亡命にこれだけの労力を投入したことには理由があるはずである。

当時のアメリカは経済的な問題を多く抱えていた。
それにマルコスは望みを託した。

レーガン大統領に金塊のありかを告げることで、マルコスは亡命と米国での安定した生活の保障を勝ち取ったのである。

この取引はアメリカにとっても採算の合うものだった。
それだけマルコスの隠した金塊の価値が高かったのだろう。

山下財宝が亡命の時点で米国に押収されていたとすれば、イメルダが金塊の隠し場所をいとも簡単に公表したことも頷ける。また、フィリピン政府が否定も肯定もしなかったことにも納得がいく。

この話は太平洋戦争後アメリカ占領下の日本で行われたという秘密交渉にも繫がる。
マッカーサーの命令で押収されたといわれている日本の隠し財産、M資金の話である。

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