なぜアイドルは短期間で演技力を上げられるか
「仕事」は事前の「練習」ができる種目ではありません。
つまり、本番の数だけが、仕事の力を伸ばしていきます。
たとえば、新人のアイドル歌手が役者の仕事を与えられる場合。
本来、役者の仕事は長い下積みが必要。町の劇団などでも、夢をあきらめずに、真摯に舞台に取り組んでいる人たちがたくさんいます。
そんな世界に、「ポッと出」のアイドル歌手が乗り込んでくる。
何もできないアイドルが、容姿がカワイイ(あるいはカッコイイ)というだけで、ドラマに出たりお芝居をやったりすることに批判的な目が向けられることがあります。
しかし、そう言われて数年経つうちに、驚くほどの存在感を持った俳優に成長してしまうことがあります。
何十年も劇団に所属して俳優を夢見ている人たちが、「仕事も投げうって、厳しい生活の中で芝居を追究しているのに」と思う一方、まったく下積みもなく、お芝居も観たことがないようなアイドルがどんどん登っていく。
ぼくは、これはけっして、「所属事務所の影響力が強いから」という変な勘繰りですまされる話ではないと思っています。
これこそ、「本番の力」だと思うのです。
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