飲みに行きたい大人」になりたい

2018年最後の「ワイングラスのむこう側」です。来年、50歳を迎えるbar bossa店主・林伸次さん。21年目を迎えたお店は順調で、子供も社会人になり、原稿を隠し事もひっきりなし、今年は小説も出した林さんですが、もう一つ、なりたかった大人像があるそうです。それは一体どんなことでしょうか。

毎日のように一緒に仕事して飲みに行っていた人

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

日曜日の夜、妻と二人で近所のハナイグチという食堂でワインを飲んでいたときのこと。妻が突然、「中村さんと飲みに行きたいね」って言いました。中村悌二さん、僕のコラムによく登場しますが、僕が修行をしたフェアグランドというバーの社長で、僕のバーテンダーの師匠でもある人です。今は飲食業界のプロデューサーとして大活躍していて、日本各地のお店から、海外の飲食店の仕事もされていて、まあとにかく忙しい人なんです。

僕がそのフェアグランドで働きたい、バーテンダー修行をしたいと思った24年前のこと。僕はまだ25歳で、履歴書を手にお店に行き、30分ほど中村さんと話した後、「もう一回面接するから。日曜日の夕方、飲みに行こう」ということを言われました。

そして日曜日の5時頃に下北沢で待ち合わせをして、夜中の1時くらいまで中村さんと二人で、3、4軒、飲み屋をはしごして、中村さんと色んなことを話しました。もちろん僕はすごく酔っぱらっているのですが、社長の前で失敗するわけもいかず、ずっと綺麗な飲み方をキープしました。

そして最後に、自分のお店であるフェアグランドに僕を連れていき、「おまえ、何飲む?」と言うので、僕は「ダイキリをお願いします」とバーテンダーさんに伝えました。僕がそのダイキリに口をつけた時に、「こいつ、今度うちで働くことになったから。いつかバーやりたいらしいから、よろしく」と店の他のスタッフに僕を紹介してくれました。

ほぼ8時間、みっちりと二人でお酒を入れて話し込めば、その人間の本質みたいなものは理解できますよね。「こんな面接をする人なんだ。面白い人だなあ」と、面接を受けた僕のほうが中村さんに心を掴まれてしまいました(今思っても良い面接ですよね。経営者の方、参考にしてみてください)。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

000ido000 若い世代から「今度、飲みに連れて行ってくださいよ」って言われるのが、一番カッコいいことなのかもしれません。> 5ヶ月前 replyretweetfavorite

mochamaking 大人って、こういうこと。いいなぁ。 5ヶ月前 replyretweetfavorite

Joker03869174 https://t.co/ufcMBtn2Wo 5ヶ月前 replyretweetfavorite

zakimiyayu たしかにこれはかっこいい。目指したいオトナ像。 5ヶ月前 replyretweetfavorite