数字への苦手意識を捨てよう
思考実験5「ギャンブラーの誤謬」も、思考実験6「シコージ病とマサノリの憂鬱」も、数字を使った思考実験でした。
数字を見るとつい苦手意識が先行したり、拒否反応が出てしまったりする方もいるでしょう。
しかし、これらの思考実験からおわかりのように、直感やなんとなくのフィーリングにまかせて行動していると、数字に足元をすくわれてしまうことがけっこうあるものです。ビジネスの場面でも意外とありうるのではないでしょうか。
たとえばこんな例を考えてみましょう。
思考実験7 シンプソンのパラドックス
A社はロールケーキ専門店「ロルケ」と、ロールケーキを含めたケーキ全般を扱うお店「ロルケスイーツ」を京都府と兵庫県で展開しています。
【京都府のお店のロールケーキ販売本数】
ロルケ 1日平均216本
ロルケスイーツ 1日平均 85本
【兵庫県のお店のロールケーキ販売本数】
ロルケ 1日平均194本
ロルケスイーツ 1日平均 75本
京都府のほうが両方とも上回っています。しかし、ロルケとロルケスイーツを合わせて1店舗ごとの平均本数を計算すると、なぜか兵庫県のほうが上回りました。
こんなことはあり得るでしょうか。
平均値は上回っているのに合計すると逆転
「ロルケ」と「ロルケスイーツ」のように、Xグループの平均値とYグループの平均値は双方とも上回るのに、すべてを合わせてから平均値を求めると下回ってしまうというこの問題は「シンプソンのパラドックス」と呼ばれています。
たとえば、A校とB校の女子生徒と男子生徒のそれぞれの国語の点数の平均値を求めると、双方ともA校が上回っているのであれば、男女を合算して平均値を求めてもA校が上回るに決まっていると思いがちです。
しかし、これは統計の落とし穴です。男女を合算してA校が上回るとはかぎりません。
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