クリエイティブを失うと、事業に死が訪れる

前回に引き続き「パンと日用品の店 わざわざ」代表の平田さんが取り組む「評価しない人事制度」についてです。誰もがリーダーになれるという「立候補リーダー制度」などユニークな人事のしくみ、そして「わざわざ」急成長の要因の一つとして、事業におけるクリエイティビティの重要性を語ります。


パン屋が組織論語りまして、どーもすいません。

リーダーに、リーダー性を求めない

さて、前回に続き、「わざわざ」で来期から施行予定の「評価しない人事制度」を紹介していきます。今回は、評価も優劣もなく、どうやってチームとしてまとまって仕事を行なっていくかという話。

わたしは幼少期から一回もリーダーになったことがない。学級委員も生徒会も部長もやったことがないし、集団の中での最下層にずっといたので推薦されることもなく、ただ好き勝手に学校に通っていただけだった。

いわゆる生徒会の役員になるような人は、成績優秀、スポーツ万能、コミュニケーション能力に優れていて、みんなのまとめ役になるような人のイメージがある。みんなに問題を提起して、解決していくスーパーマンのような、あの人だったら大丈夫だろうというような安心感をまとった人。

会社でのリーダーたるべき人も、果たしてそういう人間がよいのだろうか。「わざわざ」は現在15人が働いていて、内定者を含めると来年の春には19人の組織になってしまう。そんな中で、わたしは仮にも代表取締役をやっているのだが、はっきり言って本当に頼りない。忘れ物はすぐするし、スケジュールもすっぽかす、メールもろくすっぽ返さない、最低の人間であるが、何故か会社の業績は年々上がっている。

何故だろうか? 最近、わたしが思うのはリーダーなど誰でもよいということだ。優秀な人でもいいだろうし、わたしのようなダメ人間でもいい。ただ、一つ大事なことは「その人がやりたいと言って手を上げる」ということだ。そう、何よりも大切なのは「リーダーをやりたいという意思」であるのだ。

わたしは「わざわざ」という店(今は会社)を10年前に一人で立ち上げた。あーでもない、こーでもないと試行錯誤しながら、ひたすら前を見て進んできた。その様子を見て段々と人が集まってきて、わたしは図らずも会社のリーダーになったのだが、人がついてきてくれたのは『「わざわざ」をやりたいという意思』そのものにだったと思っている。

平田さんができないことは僕がやります、私がやります、とスタッフが常に尻拭いをしてくれるタイプのリーダーの誕生である。こんなわたしでも強い意志を持って事業に取り組むことで、人の心を惹きつけることができたのである。


誰でもリーダーになれる「立候補リーダー制度」

ということで、「立候補リーダー制度」の誕生である。手を挙げたものがリーダーになる。やりたい人がやればいい。それが一番いい。やりたくない者もいるだろう。好きにしたらいい。それが結論である。ただし、条件がある。入社してしっかりと「わざわざ」の理念を理解するまでの期間を経ることが立候補の条件である。

立候補して全スタッフからの強い反対がなければ、承認される。反対があった場合は、話し合いの場を持つ。じゃんけんやくじ引きで決めることはないし、反対があったからといってリーダーになれないわけでもない。複数人が立候補した場合も、話し合って折り合いをつける。話し合いでじゃんけんで決めようとなればそれもいいだろう。全員がきちんと承認すること。それが大切なことなのである。

さて、リーダーは本人の意思で立候補し、周りからの承認を受け決まった。リーダーの主な役目は簡単すぎて拍子抜けするかもしれないが「他部署との連携窓口」になることである。複数人が集まってチームを作るが、並列な関係性だと断言していると窓口が誰かわからず情報が錯綜する。

リーダーはその日に部署内で起こった出来事、出荷数、売上、入荷商品など部署として把握しておくべきことを把握する。そして、チーム内と他部署への連絡を行なう。要は窓口業務である。リーダーだから仕切ってやろうとか、あの問題を解決してやろうとか、そんなリーダー気分にならなくていい。情報をまとめて他部署と連携できる人、それがリーダーの一番大切な仕事なので、気張らなくていい。

リーダーにはRoutineタイプもThinkerタイプでも(前回の記事参照)、誰でも立候補できる。正社員でもアルバイトでもよくて、待遇も問わない。「今年、一年しっかり窓口やれますよ!」という意思さえあればいいのだ。だが、この「しっかり窓口」は意外と難しかったりする。

他部署やチーム内と円滑にコミュニケーションが取れることが必要であるし、部署全体の流れを把握するために業務に慣れていなければならない。「その自覚はあるか?」と立候補する人には自問自答してもらう。だから、自分で自分をしっかり知って、自信を持って立候補できた時点でリーダーの資格があるということになるのだ。


メンターとリーダーの違い
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わざわざ平田の思索日記

平田はる香

長野県東御市にある「パンと日用品の店 わざわざ」。山の上の長閑なこの場所に、平田はる香さんは2009年にひとりでお店を開きました。平田さんがnoteで公開した記事「山の上のパン屋に人が集まるわけ」が大いに反響を呼び、独自の経営スタイル...もっと読む

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byyriica 【読んだ】若手でもバイトでもリーダーになれる「立候補リーダー制度」始めます https://t.co/ZEKMVzP2Sg 約1年前 replyretweetfavorite

DMG_Macoto 【小さな事業主ほど、自社のクリエイティビティを外に表すことに熱中すべき】 わざわざ平田の思索日記 https://t.co/y5qFwE1zOn 約1年前 replyretweetfavorite

takuyayoshioka じぶんも、いわゆるリーダータイプではないので、メンバーが増えるにつれ、こんな自分が社長で良いのだろうかと自責したことが何度あったことか。じぶんの結論は、諦めること。無理してもリーダーぽくなれないし。学ぶ姿勢はあるつもりだけど。 https://t.co/Lpk7CavUT9 約1年前 replyretweetfavorite

AzumaFs 素敵。責任を持つ(取るのではなく)という意味で、立候補リーダー制度は本人と組織がとても成長すると思う。#わざわざ 約1年前 replyretweetfavorite