漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?
自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。(作者:福本伸行 講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品)
●木暮太一 カイジ「命より重い!」お金の話連載一覧はこちらからご覧下さい
「いつまでも働き続けられる!」という自信をつける
今の日本では、20代~40代のじつに85%もの人が「将来に経済的な不安を感じている」そうです。特に20代の若者たちの多くは、将来への備えとしてせっせと貯金をしているようです。
ですが、仮に将来に不安があるとしたら、それを解消するために若いときから貯めるべきものは、"お金"ではなく"働き続けられる能力"ではないでしょうか。
毎月3万円の貯金をいくら続けても、将来の安心は得られません。毎月3万円の貯金を30年間欠かさず続けたとしても、貯められる額は、
3万円×12ヵ月×30年=1,080万円
です。これに多少の金利がつくかもしれませんが、その額も高が知れています。貯金で将来の不安を消すことはできないのです。
一生遊んで暮らしても使いきれないくらいの大金持ちであれば話は別ですが、私たち一般人は、多少のお金があっても将来の不安は消えません。経済的な安心を得るためには、「将来も働き続けることができるだろう」と自分で思えることが必要なのです。
つまり、働き続ける能力が必要なのです。将来に向けて貯めるべきものはお金ではなく、"働き続ける能力"なのです。
月給が3万円高いという理由から、将来に役に立たない仕事を選ぶのではなく、月給が3万円安くても、"働き続ける能力"を身につけられる仕事に就くべきです。そうすれば、月々3万円の貯金はできなくても、代わりに能力を貯められます。
"働き続ける能力"とは?
"働き続ける能力"というと、自分の専門性を高めて、一生食いっぱぐれない技能を身につける、というようにイメージされるかもしれません。もちろん、そういう唯一無二の能力を身につけることができれば、継続して仕事を得ることができるでしょう。
でも、ある特定の専門性を身につけても、時代が変わってその能力が不要になったり、新しい技術に代替されてしまったら、意味がなくなります。いくら優秀な馬車引きでも、現代では生き残れません。
10年前の花形産業が、時代遅れ産業になっているという例は枚挙にいとまがありません。その道のプロになることは大事ですが、それだけで将来が安泰とは言えない時代なのです。
ではどうすればいいのか?
答えは一つ。時代の変化に順応してどんな仕事をしてでも生きていけるという"自信"を身につけることです。「仮に、今の会社がなくなっても、その産業自体がなくなっても構わない。自分は何か別のことをして生きていかれるから」という強い自信を持っている人は、将来に不安を感じません。
「専門性があって、今はたくさん稼げているけど、将来どうなるかは分からない」と感じている人より、圧倒的に強いのです。
自分がクビにならなかったとしても、その前に会社が倒産する可能性は十分あり得ます。そうなったら、"転職"せざるを得ません。だからこそ、自分の会社がなくなっても生きていかれると思えなければいけないのです。
能力があるに越したことはありません。能力を高めるための自己投資も有効です(3万円を毎月貯金するくらいなら、その3万円を自己投資に充てた方がよっぽど有意義です)。
しかし、将来への不安を和らげ、自尊心を維持するために重要なのは、スキルや知識よりも、むしろ精神面の強さです。「自分は何か別のことをして生きていかれる」、こう思える自信が必要で、それこそが"働き続ける能力"だと思うのです。
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