候補者ヨシダさんの演説から考えてみよう
候補者ヨシダさんのケース
送り手の側からベネフィットを考えてみたい。それのあり/なしで結末は異なる。 選挙演説をモチーフに検証してみる。そこから「適切なベネフィットの設定」とい う解決策を導き出そうと思う。
●地の巻
ヨシダイチローさんという(架空の)候補者がいる。
A駅前で演説している。
「ヨシダです。ヨシダイチローです。ヨシダイチローに清き一票をお願いします」と 声を枯らしながら連呼している。
しかし誰も見向きもせずに彼の前を通り過ぎ、その顔にはむしろ(うるせーな)と 書いてある。その場を通りがかったPさんも同じ反応である。
ヨシダさんの言葉は音としてPさんの鼓膜までは届いたが(だからうるさいのだ)、 脳に伝わることなく無視された。つまり、彼の演説は言葉の内容を判断されることな くノイズ(騒音)として処理された。
●人の巻
やはりヨシダイチローさんはA駅前で演説している。
「ヨシダです。ヨシダイチローです。ヨシダイチロー に清き一票をお願いします。私は消費税を20%に改定します。ヨシダイチローをよろしくお願いいたしま す」と訴えている。
その言葉を受けた通りすがりのPさんは(消費税8%でも否定的な世の中なのに、 あのヨシダとかいう候補者、20%なんてどうかしているんじゃないか?)と思った。
つまり、ヨシダさんの言葉はPさんの鼓膜まで届き、さらに脳に伝わってその内容を判断されたが、その結果Pさんの脳はその提案に同意しないことを選択した。
●天の巻
やはりヨシダイチローさんはA駅前で演説している。
「ヨシダです。ヨシダイチローです。ヨシダイチローに清き一票をお願いします。私 は消費税を20%に改定します。ただ単に税率を上げるというのではなく、お預かりし た消費税は使途を1円単位までガラス張りにいたします。ヨシダイチローをよろしく お願いいたします」と訴えている。
その言葉を受けた通りすがりのPさんは(最初消費税20%という言葉が耳に入った 時にはどうかしているんじゃないかと思ったが、もしかすると今の政治や行政のあり方を変えるにはそのくらいドラスティックな策を講じなければならないのかもしれないな。あのヨシダという人の考えはある意味正論なのではないか)と思った。
 つまり、ヨシダさんの言葉はPさんの鼓膜まで届き、さらに脳に伝わってその内容 を判断され、Pさんはその提案を受け入れることを選択した。
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