こちら、幸福安心委員会です。

第7回 シンジツ・ブロードキャスティング 【緑川初音】そして、今

「テロリスト・デモステネスは、個人、組織、どちらだと思う?」幸安委員である青村解の問いかけに、幸安インター(見習い)のメンバーはどう答える?
人気ボカロ楽曲「こちら、幸福安心委員会です。」のノベライズ第2弾の発売を記念して、第1弾ノベル『こちら、幸福安心委員会です。』の一部を公開します。

 テーブルを囲んだ幸安インターたちは、顔を見合わせていた。誰か答えてくれるのを待っていそうな、微妙な雰囲気。
 見合ってしまう理由は簡単で、実際のところ、幸安インターたちはみんなライバルだからだ。幸安委員会からの任務は実地試験なのだと、誰もが知っている。そして自分の点数を上げるよりは、誰かの失敗を報告するほうがずっと楽。
 そういうのが周知の事実として、暗黙に了解されているんです。

 一緒にやろうと言う仲間が、一番、信用ならない。そう考えている幸安委員もいる、なんて、解お兄さんから聞いてしまったことがある。私も学校で教えられている。クラスの誰かが不幸の徴候を見せたら、速やかに担任に報告するのが義務なんです。
 その義務は、幸福安心委員も例外にはなってない。お互いを監視する任務は、市国民の基本として身についているはず。だから交わされるみんなの視線が、とても微妙。
 この中から、正規の幸福安心委員に合格するのは、多分、ひとりくらいなのだろう。
 だから漣くんに対しては、みんなちょっぴり距離を置いている。チームメンバーに入ってきてもらったら困る、強力なライバルになりそう、という思いがあるのかも。というか、あって当然だ。
 普段ぼんやりしてる感じの漣くんは、話が本題に入ると、途端に雰囲気が変わる。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
こちら、幸福安心委員会です。

wogura /うたたP /鳥居羊

巨大ウォーターフロントにある「みずべの公園市国」。そこは完全で完璧な女王サイレンと呼ばれるAI(人工知能)が統べる国家だ。サイレンは自らの分身である“オンディーヌ”と、市国民のなかから選ばれたエリート集団“幸福安心委員会”を使って市国...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません