12月になるとうろうろしたくなる場所がある。手帳コーナーだ。
わたしは昔から手帳だの日記だのの類をこよなく愛しているので、毎年文房具コーナーに手帳が並び出す11月頃からそわそわし始める。来年はどの手帳を使おうか、ゆーて今年の便利だったから同じのにしようかな、いやいやもっとほかにいいのあるかもしれんし。手帳コーナーをうろつく季節は幸せそのものだ。
たぶんわたしだけじゃなくて、来年は手帳をつけようだとか、はたまた日記を始めようとか思う方がいる、と思う。
けれどわたしはここでひとつ、おすすめしたいものがある。
読書日記だ。
今年、noteという場所(cakesさんと同じ会社のブログサービスですね)で、読んだ本とその感想を平日毎日書きはじめた。要は読書日記だ。だれかれかまわず読まれると恥ずかしいので有料にしてあるけれど、有料にしていると読んでくれている人がいるんだ、と明確にわかるのでちょっと嬉しい。
だけど読んでもらえることの嬉しさと同時に、読書日記をつけるのは予想以上に楽しいな、と思うときがある。
読んでいる本は、思っていたよりもずっと、そのときの自分の思想をうつしている。へたに「今日どんなことをした」か記録されているよりも、本の感想を書いていた方がずっと、そのときなにを考えていたか、なにを考えたかったのか、がわかる。
ってわたしの読書日記を読んでもらうよりも、こちらを読んでもらった方がはやいかもしれない。阿久津隆さんの『読書の日記』。
友達が薦めていたので知って、Amazonで購入したところ、開いてびっくり、その分厚さ。あまりにも分厚い。ちなみに厚さは5.7cm(今測った)。ぶあつすぎやろ。
しかし分厚いのも当然だ、本当に「読書の日記」がそのまま本になっているのである。
東京の「fuzkue」という書店の店長さんによる、本を読んだ日々の記録だ。
『読書の日記』阿久津隆 (NUMABOOKS)
この日記のなにがすばらしいって、自身の生活と本がぴったりとはりついていること。
たとえば食事の日記なんかもそうだと思うんだけど、記録されている食事はほとんど高級レストランで外食三昧、その料理たちがどれほど美味しいかだけが綴られており、その人がふだん家で食べているお茶漬けのことは1ミリも書かれていない……みたいな食事日記は、「おすすめ食事集」ではあっても、「食事の日記」とは思えない、のだ。わかりますかこの感じ。わたしはあなたの食事日記のきらびやかな部分だけを見たいのではない、あなたの日常や生活の中の食事が知りたくて日記を読んでるのにっ、と歯がゆくなるあの感じ!
もちろん高級レストランばかりの日々に「は~~~いいな~~~」とうっとりしたくなるときもある、けれどそれは叶姉妹のファビュラスブログくらいで十分ではないだろーか。
それと同じで、読書の日記というのは、たまに本が読めない日々が続いたり、だけど暇なときにさらりと読んだ翻訳モノに心打たれたり、ちょっと今まで手が出せなかった分厚い古典に挑戦してみたり、そんな「生活の中の読書」だからこそ読んでいて楽しい、のだ。
まあ、完全にわたしの趣味だけれども。
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