「寺田心」と呼び捨てにしない理由
日頃、このコラムで取り上げる芸能人は「敬称略・呼び捨て」で記しているが、数年前に寺田心さんについて書いた時だけは、特例措置で「寺田心さん」と「さん」付け表記にした。テレビで彼を見かけると、周囲は彼のことを「心くん」などと気安く呼んでいるのだが、もはや、こちらからわざわざ幼稚な感じで歩み寄っていく存在とは思えない。かつて伊集院光がラジオで、「寺さん」と呼びたくなると言っていたが、その指摘に改めて納得する。今回も、寺田さんという表記で進めていく。
寺田さんの所属事務所の先輩・芦田愛菜は、ドラマ『マルモのおきて』に出演した際、セリフの中に絵本『ぐりとぐら』が出てくるのを確認し、思わず監督を呼ぼうとしたという。芦田が何十回も読んできた大好きな絵本なので、無邪気に喜びを表明するのかと思いきや、そうではない。暗記するほど読みふけっていた芦田は、誤植に気づいた。ある箇所の「は」と「が」が原作と違っており、このままでいいのかと指摘、原作と照らし合わせると確かに間違っていたのだ。これくらいシビアな世界を生き抜く人たちに「~くん」「~ちゃん」と気安く呼びかけることに躊躇いがある。
柴咲コウ「おじいさんが入っているの?」
寺田さんの応答を見て、「この子、ホントに○歳かよ!」(ちなみに今は10歳)と思わない人はいない。そもそも、どんな「○歳」にも、平均的な状態が規定されているわけではないのだが、寺田さんの場合、何はともあれ、平均を凌駕していることが存分に伝わる。しかしながら、インタビューで、その手の驚きを本人にぶつける人が、ただただポジティブなテンションで「心くん、しっかりしているよね~」と投げかけてしまうから、当然、「そんなことないですよ~」が戻ってくるだけとなり、寺田さんを揺さぶることはできない。