40代のセクシーな女友だちが教えてくれた加齢への道

独身、既婚、子持ち、子なし、お金持ち、貧乏、美人、不美人…。ちょっとの「違い」ゆえに、時々ぶつかる私たち。それでも、男には絶対に見出せないものが、女の友情にはあるーー。

「女友だち」の新しいカタチを描く北原みのりさんのエッセイ『メロスのようには走らない。〜女の友情論〜』を特別公開します。

「自然に年を取りたい」「若作りをして、加齢に抗うのはみっともない」

 若い頃、私はそう思っていた。若さに固執せず、シミや皺に抗わず、大らかに加齢を受け入れる女がカッコイイ、私は絶対そうなろう!と考えていた。

 ......が、実際はどうだったろう。シミや皺を発見した時に私は、「あぁ、こんにちは、シミさん!ようやく会えたわね!」なんて悠長なことを私は言っただろうか?

 ......まさか、である。げ、シミじゃん!とおおいに慌てた。若いうちは知らかかったが、シミも皺も、ある日唐突に目立つのである。昨日まで見えなかったものが、今日ある。という状況。昨日の私と今日の私を別人に分け隔てるもの、それが老化。

 お金で解決できるなら、シミはレーザーで消したいし、皺は高級化粧クリームで浅くしたい!と私はエステに駆け込んだものだ。いったい40歳を過ぎてから、いくら化粧品やエステにお金を使っただろう。それどころか、私は41歳でエステティックサロンの経営まで始めたのだ。肌の調子がよくなるフランス製の高いマシーンを2台も買って、ローンをヒーヒー払いながらも、美容業界に目覚めてしまった。

いったい何のために?

 さぁ、20代の私が今の私を見たら、どう思うだろう?「昔言ってたことと、やってたことが全然違う」と軽蔑するだろうか。

 フェミニズム的には、「年を重ねるのってステキ!皺もシミも、私」なんだとは思いながら、でも「肌はキレイなほうが落ち着く」のは事実だった。たかが見た目、と言う人もいるが、見た目も私の大切な一面なのだった。

 しかも身体の変化は心の変化よりもずっとスピーディーで柔軟なので、老化に心がついていかなかった。ならば私は、ゆっくり変化していく道を選びたいと思った。なるべく昨日までの自分を保ちつつ、新しい自分を受け入れていく道を選ぼうと思った。

 誰でも平等に年を取る。肌はくすむし、たるむし、皺はできるし、シミは増える。だったらせめて速度は調整しよう、と。

 しかし、いったい何のために?何のために「速度を調整するの?きれいでいたいの?」という疑問はいろんな方向から飛んでくる。芸能人でもない女が、見た目で勝負してきたわけではない女が、40を過ぎて美に固執する姿は決して好意的に思われてはいない。

 実際に私がダイエットしたりエステサロンを始めたりすると、「北原さんが?意外!」と驚かれたり、「実は男に媚びている」とか、「いつまでも若くいたがってイタイ」とか言いたがる人がいた。

 私が想像する以上に世間は「女は年相応に年を取るべき」と思っているのかもしれない。若いうちに美に無頓着な女は怠け者扱いだが、いつまでも美にこだわる女には、冷たい視線を浴びせるのが世の中というもの。年に抗い、美容にこだわるようなアラフォー世代を「美魔女」と名付けたのは光文社の女性誌だが、「美魔女」に対する世間の目は決して優しいものではないのだ。

どうやって年を取っていくのが「正解」なのか

 たとえば上野千鶴子さんは、ご自身も美魔女なのに(年を重ねてますますツヤっぽくてセクシーなお姐様になってる)、湯山玲子さんとの対談集『快楽上等!』(幻冬舎)の中で「美魔女は不気味」と二人して辛辣だった。なぜならいつまでも男に選ばれたいと思っているのが「気持ち悪い」からと。

 また、自由な女ぶりで人気の湯山さんは美魔女が本当にお嫌いらしく、「本当の若い女性には敵わないのだから、若さではなく個性を売りにするべき!」というようなことを女性誌でも語っていた。

 フェミも、自由な女も、世間も、美魔女にはとても冷たい。いったい女はどうやって年を取っていくのが「正解」なのだろう?

 以前、女性誌で活躍する「チーム美魔女」と呼ばれる人たちを取材したことがある。美魔女ブームの真ん中にいる30人ほどの女性たちは30後半か50代前半だったが、中心にいるのは、バブル時代に20代を謳歌した1960年代生まれだ。

 正直に言えば取材をする前は、私自身が「美魔女」に偏見があった。お金持ちで、専業主婦で、美容にお金をたっぷりかけられるから、いつまでも若い見た目を保っていられるんだろうな〜、いい身分だわ〜、というような。でも実際に会った美魔女たちに、リッチな専業主婦はほとんどいなかった。組織に属する会社員率も低かった。結婚はしているがバツ1、バツ2は当たり前。仕事は自営業率が高く、経営者も珍しくない。

 つまり美魔女とは、他人の目を気にしたり、組織に縛られたり、夫に遠慮したりする必要のない女性たちだけが、堂々とセクシーな服を着て美人オーラを出し続けている状態を言うのかもしれない。

 実際、地方では美魔女は生きにくい、と言った美魔女もいた。

「年相応にお母さんになることを求められるから。セクシーな服を着て外に出ようものなら、気でも狂ったか、って止められるのよね」

 もちろん都会に生息する美魔女自身だって、「ばばあが何をやってるんだ」「気持ち悪い」という声が聞こえてこないわけがない。でも彼女たちはそんな声を鼻で笑ってこう言うのだ。だから何?と。

 なんて自由でかっこいいんだろう。きれいに染められたロングヘアに、細い腰、妖艶としか言いようがないセクシーな美魔女たちに私は、夢中になってしまったのだった。

「40代の女が一番セクシーだなんて、世界の常識なんだけどね」

 私にも美魔女の友だちがいる。サトコさん、1966年生まれ。バブルの時は華々しく街を闊歩していたらしく男関係の武勇伝はやまのようにある。数々の浮き名を流した末に30代で台湾人と結婚し、建築の仕事をしていて、40直前で女の子を一人産んだ。

 今もボディラインが出たワンピースに最低でも7cmヒールで仕事をしている。そうそう、夫以外に二人も恋人がいて、セックスレスだったことは人生に一度もない、と言い切っていた。セックスしない日が2週間以上空いたのは、出産後の一カ月だけだ、と。

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この連載について

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メロスのようには走らない。〜女の友情論〜

北原みのり

独身、既婚、子持ち、子なし、お金持ち、貧乏、美人、不美人…。ちょっとの「違い」ゆえに、時々ぶつかる私たち。それでも、男には絶対に見出せないものが、女の友情にはある。「女友だち」の新しいカタチを描く、北原みのりさんのエッセイです。

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F_no_kiroku https://t.co/9Ij7pp3qXp 1年以上前 replyretweetfavorite

chi_bresson 女の年の取り方て難しい。 https://t.co/vPIcYlCUMH 1年以上前 replyretweetfavorite

chi_bresson https://t.co/vPIcYlCUMH 1年以上前 replyretweetfavorite