行き詰まったときにこそ、たしかなものが見えてくる

伝説の棋士から一転、愛くるしい癒しキャラの「ひふみん」として芸能界でバツグンの存在感を放つ加藤一二三氏。どんな場面でも前向きに生きる姿勢の根本には、いったい何があるのでしょうか。 著書『幸福の一手 いつもよろこびはすぐそばに』から、よりすぐりのエピソードを特別公開します。 第4回は、行き詰まりを打破するヒントについて。

「加藤の将棋はつまらない」

 そんな風に言われていた時期がありました。切磋琢磨してきた将棋仲間からもです。

 あれは、30歳にさしかかる手前のこと。実際に、対局結果はふるわず、タイトル獲得からも遠ざかっていました。

 そのときは、自分の指す一手一手に、迷いが生じていました。これがいちばんよい手なのか、いまひとつ確信がもてない。当然のことながら、将棋が中心となっていた生活にも、行き詰まりを感じ始めていたのです。

 このままではいけない、なんとか打破しなくては。そんなときに、救いとなってくれたのが、キリスト教の教えでした。


人生にも「たしかな真理」がある

 思えば、20代の半ば、升田名人や大山名人と対戦を重ねていた時期に、私は幼い頃に得た確信を深めていました。お互いに最善手を指し続けていれば、ある極限まで来ると必ず勝利に結びつく一手があると、身にしみてわかるようになっていったのです。

 さらに、最善手というのは、人間の理解を超えた真理だということも悟りました。たしかに存在するけれども、容易につかめるものではない。対局において長考をするようになっていったのも、この頃です。

「将棋とは何か」について深く追究するなかで、人生にも真理というものが存在するはずだと考えるようになっていきました。

 そして、将棋にも人生にも行き詰まっていたとき、その「たしかな真理」とはキリスト教だと思ったのです。

  少年時代から、西洋の文学や歴史、クラシック音楽が大好きだった私にとって、キリスト教は常に身近にありました。ただ、本格的に勉強をし始め、30歳のクリスマスに洗礼を受けてから、私は大きく変わりました。対局前には欠かさず祈り、「誠心誠意、考えて指していけばいい」と思えるようになったのです。

 人生における「たしかなもの」を実感できた私は、将棋での迷いも吹っ切ることができたのでした。


人の努力の限界を超えるには

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この連載について

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幸福の一手 いつもよろこびはすぐそばに

加藤一二三

「大丈夫、あなたの幸せは、用意されているから」 伝説の棋士から一転、愛くるしい癒しキャラの「ひふみん」としてバツグンの存在感を放つ加藤一二三氏。どんな場面でも、笑みを絶やさず、前向きに生きる姿勢の根本には、ゆるぎない信仰がありました...もっと読む

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コメント

hifumikato 連載第4回目は 『』 言い換えますと 『行き詰まりの打破の方法』について語らせていただきました |加藤一二三 @hifumikato | 8ヶ月前 replyretweetfavorite

hifumikato 『加藤の指す将棋はつまらない』そんな風にいわれていた時… https://t.co/CdMJsgKUy3 8ヶ月前 replyretweetfavorite

magenta246 ひふみん読んでると改宗しそうになる。宣教師か!笑 10ヶ月前 replyretweetfavorite