“お茶の間のヒーロー”長瀬智也 オリジナリティをつくる普通の感覚

宮藤官九郎作品をはじめ数多くのテレビドラマに出演している長瀬智也。ミュージシャンとしてTOKIOのボーカルに加え楽曲の制作も行ない、バラエティでもおなじみです。その裏には、常にオリジナリティを求めつつ、一般の視聴者感覚を忘れないようにする努力がありました。〝誰でもいい〟から〝誰も代わりがきかない〟存在になっていった、ジャニーズタレントの努力に迫ります。

人と同じなのが嫌なんです。人と同じほどカッコ悪いことはない。自分だけのものがいい。
そういう作品でないと、取り組む自分も、見る世の中の方も面白くないかなって思う」
(長瀬智也,1978-)

〝お茶の間のヒーロー〟長瀬智也を生み出したもの

ジャニーズの中でも、特に視聴者との距離感が近く、〝お茶の間のヒーロー〟といってもいいTOKIO。ジャニーズでは珍しくバンド形式で活動していて、メンバー同士の仲の良さは画面越しにも伝わってきます。そのTOKIOのボーカルを、20年以上務め続けているのが長瀬智也です。

メンバー最年少で、最年長の城島茂とは8歳差。クンづけ、タメ語で呼び合うジャニーズの世界の中で、メンバーに対しても敬語を使い、バラエティー番組での言動などから男性の支持も強く、街中で声をかけられるというのも納得の親しみやすさです。

そんな長瀬の仕事は、TOKIOとして出演するバラエティの他に、俳優としてのテレビドラマ出演と、音楽活動が主。これまでの長瀬の発言を振り返ると、その根底には〝自分のため〟ではなく〝誰かのため〟という意識があり、そのために、あえて〝一般的な感覚〟を保とうとしていること、一方で他の人と同じことはせずに個性的でありたいという意識がみられます。

一般的な感覚と個性という、一瞬、矛盾して聞こえるかもしれない2つを内包する男・長瀬。
「みんなができることは多分みんながやるから、僕がやってもしょうがないっていう思いは、ドラマでも歌番組に出る時でも、バラエティーでも、心のどこかに絶対あると思います」
と語り、他の人にはない個性を強く出したいという想いは特に強いよう。その活動を振り返りながら、長瀬の成功の源を探っていきます。


テレビドラマへの愛着

まずは長瀬の仕事のうち、俳優業について触れていきましょう。
初めてのドラマ出演は1993年。その後、17歳で主演した『白線流し』シリーズをはじめ、山田太一脚本の名作『ふぞろいの林檎たち』の最終シリーズや、脚本家・宮藤官九郎の初連ドラ作品となった『池袋ウエストゲートパーク』などに、キャリアの前半で出演します。
そこから、20年以上の間に連ドラの主演作は20本を越える勢いと、ほぼテレビドラマと共に人生を駆け抜けてきたといってもいいでしょう。

一方、映画の出演作は5本。うち、盟友・宮藤官九郎の監督作品が2本と、あまり積極的ではないことが伺えます。本人もこんなことを言っています。
「一時期、みーんなドラマから映画のほうに行っちゃったんですよ。それを端で見てて『ゼッテェ映画界なんか行くか!』って心のなかで思ってましたもん」

ですが、これは、単なる天邪鬼ということではありません。長瀬は、テレビドラマに対する情熱が大きいのです。
「僕はドラマに育ててもらったし、やっぱりテレビドラマが好きなんです。無料で、お茶の間で、手軽に見られる。それって一番のエンタテインメントだと思います」
と、テレビという〝誰でも〟見られるエンターテイメントへの愛情を強く持っています。


仕事は〝誰かのため〟。だから、一般的な感覚をわすれない

そして、その根底には、こんな想いも。
「カッコイイとか素敵って思われるためにやるっていうのも、それはそれでいいけど、僕には必要ないと思ってしまう」
「自分がやるドラマでも音楽でも何でも、人を楽しませたかったり、それでひょっとしたら誰かの人生が変わるかもしれないっていう思いは常に持っている」
そう、長瀬は〝自分のため〟よりも〝誰かのため〟を意識して仕事をしている人なのです。
そこには、自分がカッコよく思われたいという気持ちは存在しません。

特に転機となったのは『池袋ウエストゲートパーク』の主役・マコト。童貞色の強い、決してかっこよくはない役でした。21歳のときの、この作品で〝誰かのため〟の意識が強く芽生えた長瀬。
「『責任を持ってやらなきゃな』って初めて思った。例えば、死のうと思ってた人があと1日生きてみようかなって思ったりしたら、それはすごいことだから。安易にやっちゃいけないと思った」
のだと振り返ります。

テレビドラマという、多くの人が触れるものに出演していても、例えば舞台のほうが、お客さんの顔を直接見られる分、見ている人を意識しやすいという俳優さんは多くいます。そんな中、直接視聴者の見えないテレビを主軸にしながらも、〝誰か〟を考えるのは意識的にならないとできないこと。そしてその〝誰か〟を考えることは、自身が一般的な感覚を保ち続けることにも繋がります。

「この世界に入ったら、どんどん一般の人とかけ離れていって、しゃべらなくなって、僕らはみんなに見てもらうドラマや音楽を作らなきゃいけないのに、一般のことがわからない人間がそれをやっているのはどうかと思う」
とも発言し、一般の人のことがわからなくなっている、いわゆる〝業界人〟に違和感を感じているよう。
長瀬は、自身は中心にいながらも芸能界に溺れることなく、ドラマを見たり音楽を聞いたりしている〝普通の誰か〟を意識的に想像し、自分も一般であることを心がけている人なのです。

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霜田明寛

紅白歌合戦の司会を担当し続け、映画やドラマに出れば、ヒットを飛ばす、日本の芸能界を代表するジャニーズのタレントたち。しかし、彼らはもともと才能があって生まれてきた人たちではありません。「才能」と呼ばれるものは、天から授かるものではなく...もっと読む

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naaaaaaaaaasa |ジャニーズは努力が9割|霜田明寛|cakes(ケイクス) ほー https://t.co/EzMaBxeXz5 7日前 replyretweetfavorite

gakky2018015 2002年「ビッグマネー」の長瀬はよかったなぁ。 植木等さんの… https://t.co/j1bMaXJ6av 8日前 replyretweetfavorite

harukesu3 “置かれた環境を肯定して成果を上げる” くぅーーーっっ これがなかなかできひんのよな。 なんで肯定的になれるんやろ? 『ジャニーズとして生きていく』と腹を据えてるから、環境に合わせていけるんやろか...? https://t.co/MFrsyKozFE 12日前 replyretweetfavorite

MEGUMI55569485 https://t.co/pJuqW2CT8v 12日前 replyretweetfavorite