つけ髭を購入しているのではないか
昨年は、女性社員が忘年会でブルゾンちえみをやらされる危険性について言及したが、今年は、男性社員が扮するフレディ・マーキュリーにテンションを無理やり合わせなければならない危険性が生じているのではないか。どちらが地獄かと問われれば、それぞれに地獄である。なお、「ブルゾンちえみ 忘年会」で検索するといくつもの動画が出てくるのだが、もはや本人ですら積極的にやらなくなった「35億!」が、たちまち閲覧可能な状態にあることに危機意識はないのだろうか。それとも「そうそう、あれ、ウケるっしょ!」的な感じで、閲覧をむしろ推奨しているのか。忘年会のブルゾン動画を8本ほど見て、ノリノリのwithBを何組か見かける。この人たちはもう、今年の準備に差し掛かっているのだろう。おそらくDA PUMPなのだろうが、つけ髭を購入している可能性もゼロではない。
足踏みと手拍子の「ドン・ドン・チャ! ドン・ドン・チャ!」から始まる「We Will Rock You」が、今年、津々浦々の忘年会で行われる。みんなでたちまち団結できてしまうハードルの低さを前に、QUEENそのものを恨む若手社員が生じるかもしれないが、それはQUEENのせいではない。恨むのならば、マイクを握るその人である。この基本に何度でも立ち返りたい。
映画『ボへミアン・ラプソディ』の中で、フレディが、自分は家族を築けない、でも、バンドが自分にとっての家族なのだ、と改めて気づく場面がある。会社の部署やプロジェクトチームをすぐに「家族」に変換しがちな上司は、「We Are The Champions」の歌詞にある「負け犬に出番はない 俺たちこそが世界のチャンピオンだから」(大野れい訳)あたりを都合よく自分たちの境遇に落とし込んでくる可能性がある。観衆を巻き込む曲を意識的に作ったQUEENだが、それが2018年になって若手社員を苦しめる年末を生み出すかもしれない。
「マツケンサンバ」の弱点
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