『爆裂都市』を見て取引先とケンカ
山口 オレが初めて就職した会社は社員10人ぐらいの広告制作プロダクション。そういうと聞こえはいいけど、デザイン、写植、版下まで全部やるような会社なんだよ。当時、宝石店のじゅわいよ・くちゅーるマキっていうところとかがテレビCMをガンガンやってたんだけど、そのチラシとかポスターとか作ったりしてた会社なのよ。でもオレが入った頃はそこまでいい仕事はなかったんだけどね。そこでまずやらされたのが、1ミリの幅の中に研いだ丸ペンで10本線を引くっていう練習。
──まだMacとか出る前だからすべて手作業なわけですもんね。
山口 デザイナーっていっても、思ってたのと全然ちげーじゃん! って泣いたよ(笑)。当時はそういう下積みを10年ぐらいやらないと、いっぱしのデザイナーになれないっていう時代だったんだよな。
──今と違ってデザイナーが職人っぽい時代ですよね。
山口 で、その後は、新聞の下に小さい広告あるじゃん。コンサート告知とか専門学校とかの広告。毎日毎日ちっちゃい広告を2年間もひたすら作ってたのよ。指定して、写植出して、それを貼って版下作って、入稿まで全部やってたよ。
ーそれだとかなり忙しい毎日ですよね。
山口 徹夜とかはなかったけどホントに忙しかったな~。一切遊んだりできないし、仕事仕事で、イヤな思い出しかないね! 専門学校を卒業する1、2ヶ月ぐらい前から働いてたんだけど、その時点で現実を知っちゃったからさ。卒業式はどんよりしてたのを覚えてるよ。デザイナーになった感じはあったけど、夢がないっていうか、終わった感じだったな。
──2年目で辞めようと思ったキッカケはあったんですか?
山口 もう限界だったんだよ。忙しいし、面白くねーし、お客さんと揉めちゃったんだよ。
──揉めた?
山口 とにかく「早くしろ」ってガンガン急かされるのよ。で、ちょうど『爆裂都市』観に行った翌日で、映画の勢いもあって「なめんなよ!」ってブチ切れちゃって(笑)。
──ははははは! 気持ちは分かります!
取引先をなくしても褒められるグッチー、ヘッドハンティングされる
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