釣り人生のハイライト
釣りはフナに始まりフナに終わる、という言葉があります。
フナは浅い川や池にいる小型の魚で、釣りの対象魚としては非常に初心者向けのものですが、実際にやってみると餌のつけ方、アタリの取り方などこだわれるポイントが多く、ゲーム性が高いものです。そのためあらゆる釣りをマスターした人が、最後にたどり着く釣りでもある、というのが上記の言葉の意味です。
というわけで、釣り人の端くれであるぼくもいつかはフナ釣りにハマってしまうのだろうかとは思うのですが、今の時点ではとてもそんな気はしません。
なぜなら今ぼくは、フナ釣りとは対極にあるといっても過言ではない、特殊な釣りにどっぷりとハマってしまっているからです。
それは、深海釣り!
あなたの知らない深海釣りの世界
深海釣りとは、言葉通り「深海魚を狙う釣り」のこと。
といってもそもそも深海魚の定義がわからないといけないのですが、一般的には「水深200m以深の魚を釣る」行為と理解されています。
水深が200mを超えると、海上から届く光もわずかとなり、我々人の目では「青く暗い」だけの世界となります。水圧も強く、水深300mでは空けていないツナ缶がつぶれるほどの圧力がかかります。そんな過酷な場所に棲む魚たちは、普段我々が慣れ親しんだ姿とは大きく異なる見た目をしており、いざ目にすると、新たな世界との邂逅を実感することができます。
道具も武骨でメカニックになる
昨年、東京・国立科学博物館で開催された「深海展」には連日多くの人が詰めかけたといいます(ぼくも行きました)。
書店を覗けば深海関連書籍コーナーが作られるほどで、テレビでも毎月どこかのチャンネルで深海関連番組が放映されています。
いま、深海がアツいんです(水温は摂氏0度近くだけど)。
そして考えてみてください、あの珍妙奇妙なヘンテコ生物たちが生きている姿で手に入り、あまつさえそれを食することすらできるということの楽しさを!
深海漁の手伝いの合間にゲットした深海アナゴ
漁業におけるフロンティアとしても注目されている深海、そこの生物が手に入るということはすなわち、全人類憧れの「『世界で初めて○○を食べた人間』という称号」すら手に入れられる可能性があるということです。少なくともぼくは本気で狙っています、謎の深海鱈とか深海ナマコとか。
もちろん、正統派の楽しみもたくさんあります。
深海釣りでは釣りの楽しさ自体は他の釣りと比べると少ないとされています(個人的には深海釣りほど楽しい釣りもそうないと思うけど)が、一方で食味の素晴らしいものがたくさん手に入ることでは他の追随を許しません。
アカムツやアコウダイのような超高級魚をはじめ、知る人ぞ知る美味な魚や、美味しいとは言い難いけど魚屋では絶対に出会えないレアな魚など、キャッチ&イートが身上のぼくのような釣り人にとっては最高のターゲットたちと出会える釣りなのです。
とまあアツく語るのはこの程度にして、ここからは実際の釣りの様子と、釣りで出会える深海のフレンズたちを、水深別にご紹介していきましょう。
深海釣りは水深ごとに世界が変わる
●水深200~400m
カモメに囲まれてのんびり
電動で巻き上げてくれるリールや鈍器みたいなオモリなど専用の道具は必要になるものの、深海釣りにおいてはまだ序の口の水深。針を海底に送り込むのに5分、巻き上げに10分程度“しか”かからないので気軽に投入できる。
釣れてうれしい順ランキング
3位 シロムツ
群れでいるのでまとまって釣れる。小さく食べるところは少ないが、柔らかい身とたっぷりの皮下脂肪のバランスがよく、刺身で美味しい。アタリが小さく、気が付いたら鈴なりにかかっているので「釣った」という実感がわきづらいのが難点。
2位 カゴカマス
タチウオとサバの合いの子のような見た目だが、タチウオの身質とサバのような脂の乗りを併せ持つすこぶる美味な魚。まず流通に乗らないので、自分で釣らないと食べられない。歯が鋭く、また小骨が多いので調理が難しいのが難点。
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この脂の乗り、見事