いい人」をやめると、脳がブルブル動き出す! #0【本文公開】

周囲の期待に応えて必要以上に頑張ってしまう、他人から嫌われることが怖くてNOと言えない、いつも自分ばかりソンな役回り……。「いい人」から脱却できずにお悩みのあなたに、脳科学者・茂木さんが本音でアドバイス。話題の本『「いい人」をやめる脳の習慣』の本文公開!(毎週火更新)
インタビューとあわせて、お楽しみください♪

すべての人に好かれる人などは存在しない

誰からも好かれたいと思う、「いい人」がいます。
これは特別なことではなく、むしろ、いまの日本では誰もが良好な人間関係を築こうと必死になっているように思います。
たしかに、人から好かれたいと思うのは、脳科学的に考えてもごく自然な人間の感情だといえます。
そういう気持ちを持つのは、私たちが社会的な動物として進化してきた証拠でもあるからです。
もちろん私だって、豊かな人間関係に囲まれて暮らしたほうが幸せだということに異論はありません。
けれども、「いい人」を演じてまでつくり上げた人間関係は、はたして本当の人間関係と呼べるのでしょうか?

誰からも好かれたいという純粋な気持ちが、いつの間にか「誰からも好かれなければならない」という強迫観念に変わってしまい、あなたの中に「いい人」という別の人格をつくり出してしまっているのです。

どんな理由があれ、自分を偽る「いい人」は結局のところ、誰からも信用されなくなってしまいます。自分に噓をつきながら、たとえ良好な人間関係をつくれたとしても、「あなたがいなければダメ」と言われるような人間関係をつくることはできないのです。
そもそもこの世の中には、すべての人に好かれる人などひとりもいません。
それは、私にしてもそうです。
どんなに人間的に素晴らしい人でも、その人のことを悪く言う人はいますし、嫌う人は必ずいるもの。これが人間関係の本質ではないでしょうか。

ところが、こうした本質を認めることができない人は意外にも多く、誰からも好かれたい一心で「いい人」を演じてしまい、苦しんでいるのです。
自分の居場所を実感できなくなった人ほど、こういったケースに陥りやすいといえます。 自分を抑えていつも他人の顔色を窺い、嫌われることを悪役や鬼になるようなことと決めつけることにより、自分自身の世界がどんどん小さくなってしまうのです。

このように、自分の世界を小さくしながら生き続けることは、とてももったいない気がします。 そこで、改めて人間関係の本質として「人は誰もが誰かに好かれ、誰かに嫌われる」ということを考えてみてください。

もし、あなたがこれまで「いい人」を演じていたなら、そんな自分を認め、受け入れてあげたうえで、このようにマインドチェンジしてみてください。

「誰からも嫌われない人など、ひとりもいない」
「誰からも嫌われている人も、ひとりもいない」


もし、あなたが「いい人」をやめて100点の自分と出会えたとします。
そんなあなたのことを、ある人は50点と評価するかもしれませんが、なかには「あなたにそんな一面があったんだね」と言って100点の評価をしてくれる人が必ずいるということです。
ですから、あれこれと心配する前に、まず「いい人」をやめたあなたを評価してくれる人が、もっとあなたを評価してくれるにはどうしたらよいかを考えることのほうが重要なのです。

「いい人」を演じているとき、脳には負担がかかっている

「優しい人だと思われたい」
「嫌われたくない」
「悪者扱いされるのはイヤ」

そんな思いから、どんな頼まれごとも笑顔で引き受けていませんか?
納得できないと感じながらも、人に嫌われることを避けようとするあなたは、まさに「いい人」を演じている人なのです。 他人から嫌われたくないから「我慢しなきゃ」と自分を抑え込んでしまい、いつも相手に合わせた言動をとってしまいます。
そんな「いい人」を一日でもはやく卒業したいと思いつつも、いつも損な役回りを演じてしまう原因は、あなたの脳にあるのです。

「いい人」を演じているあなたの脳で、どんなことが起こっているのか。実はその瞬間、あなたの脳の前頭葉では抑制回路が強く働いています。
脳の前頭葉という部位では、自分に不利な方向に思考が働くと、脳に抑制をかけて思考を止めて自分を守ろうとする性質があります。
これは人間関係においてもまったくその通りで、お互いの関係に波風が立ちそうな局面で「嫌われないように」「変なやつだと思われないように」と、脳はさまざまな抑制をかけ始めるのです。

いってみれば、自分自身が「いい人」をやめたいと思っても、脳自身が変わってくれないということです。

「いい人」をやめたいと思っても、脳が抵抗する。自分の個性を押し殺してでも、無理やり他人に合わせようと脳が働き出す……。
こうした自制の力は社会を生き抜くために必要な能力かもしれません。人は社会で生きていくため、ときには自分の気持ちを抑えることも必要です。
しかし脳の抑制回路が働いた結果として、「いい人」としての自制心が強くなりすぎ、あなたが持っている潜在能力が100あるところを10どころか、1までしか発揮できない状態になってしまうこともあるのです。

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茂木健一郎 「いい人」をやめる脳の習慣

茂木健一郎

「いい人」をやめると、脳がブルブル動き出す! 他人の目に意識を向けず、自分のために脳を働かせれば生きるのが驚くほどラクになる。 ムダな我慢をあっさり捨てて、自分の人生を充実して生きるための茂木式・ポジティブ人生操縦法!

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コメント

stay_foolish82 @AoyagiYoshimi 永遠を生きない僕らに間違いは問題じゃない。好きに、自分らしく生きてください。 #読書 #koba82メモ https://t.co/GVkIaAlEJq 4ヶ月前 replyretweetfavorite

yuki14ymks 自分の評価を気にしなければ、 心の繋がりも上手になると思う😊 7ヶ月前 replyretweetfavorite

yuki14ymks うん、うん😊 7ヶ月前 replyretweetfavorite

ayacococh 「誰からも嫌われない人など、ひとりもいない」 「誰からも嫌われている人も、ひとりもいない」 https://t.co/ZsmyVvt33y 7ヶ月前 replyretweetfavorite