​人のロマンチシズムを笑うな

文章の通り、とても優しくて普段からとても温厚なbar bossa店主・林伸次さん。そんな林さんでも、かならず怒ってしまうことがあるそう。それはいったいどういうことなんでしょうか?
スイスイさんとの特別企画で、相談を募集中です。ぜひご参加ください。

どうしても許せないこと

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。


僕、めったに怒らないんですね。別に性格が穏やかというわけではないのですが、キレるのってちょっとみっともないと思っているし、何かあっても「まあ世の中そういうこともあるだろうしな」って考えるようにしているんです。

それでも、こういうケースは必ず怒ってしまうんです。例えばテレビ番組で、リポーターが扉を開けて、ある食堂に入ります。その食堂のご主人が大の星座好きなんですね。壁も天井もちょっとプラネタリウム風になっていて、でも素人が作っているからちょっとB級で、さらにメニューにも星座の名前がついているんです。

それでリポーターがそのお店のご主人に、「どれだけ星座が好きなのか」とか「どういうきっかけで星座を好きになったのか」っていうのを質問しますよね。そしたらそのご主人、うっとりして星座について熱く語り出すんです。星座がいかに素晴らしいかっていうのを語ります。それが熱すぎて、ちょっとリポーターがひいてしまったりするんですね。

それで、リポーターが「この織り姫様定食っていうのはどういうものなんですか?」なんて質問すると、ご主人がその織り姫様定食を作って出すんですね。そしたら、全然ずれていて、リポーターが「これ、どこが織り姫さまなんですか!」とかって突っ込んで、テレビの雛壇のタレントたちが大笑いするんです。

そこからはずっとそのご主人の「ズレ具合」を笑おうという雰囲気になって、そのお店の壁にかかっているのとか、ご主人が大切にしている星座グッズとかを見て、それを撮影して、テレビのテロップでバカにするんです。

僕、こういうのを見ると、すごく怒ってしまうんです。もう笑っているタレントたちのことはもちろん、この番組を作った人たちのことも含めて、こんなひどいテレビ番組をつくるなんてどういう精神構造だろう、ってなってしまうんです。

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この連載について

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

ChikaCaputh 同感です。 人のロマンチシズムを笑うな|林伸次 @bar_bossa | 16日前 replyretweetfavorite

umarine 人のロマンチシズムを笑うな|林伸次 @bar_bossa | 17日前 replyretweetfavorite

izaken77 人のロマンチシズムを笑うな|林伸次 @bar_bossa | 17日前 replyretweetfavorite

celzephyr 人のロマンチシズムを笑うな|林伸次 @bar_bossa | 18日前 replyretweetfavorite