Rule
会社の業績がよくても、給料は上がらない
「給与所得は増額が見込めない」というと、仕事を頑張っていて評価されている人は、「そんなことはない、それは自分次第だ」と思うことでしょう。
でも、客観的な材料を見ると、給料は上がらないどころか、国内の経済成長も見込めない現状が見えてきます。
ここ数年、「企業業績、過去最高を更新」というような見出しを決算期に見ますが、あなたのお給料は同じように過去最高を更新し続けていますでしょうか?
業績好調でボーナスアップがありましたか?
社会人になりたての数年ならまだしも、好調な企業業績の恩恵を受けている人はそんなに多くはないと思います。
給与が上がらないことを、企業側は社員に対してさまざまな理由で説明すると思いますが、それを鵜呑(うの)みにするのは間違いです。
実際には企業は好業績だとしても社員の賃上げはできる限り抑え、利益を確保しているからです。
財務省が公表している2016年度の法人企業統計によると、企業が得た利益から株主への配当などを差し引いた利益剰余金(金融業、保険業を除く)、いわゆる内部留保は406兆円。
しかも前年度よりも約28兆円も増え、過去最高を更新しています。
「内部留保」という蓄えを続ける理由として、企業側はもっぱら、「将来的な事業拡大に備えるため」などという説明をしますが、事業拡大が新規事業であれば、あなたには関係のない話です。
また既存事業なら人員を増やす方向になり、既存社員であるあなたの給料アップに直結することはないでしょう。
次に、国内の経済成長を見てみましょう。
日本の人口は現在、1億2670万6000人(2017年10月1日時点、総務省発表)で7年連続で減少しています。
国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、この傾向は続き、2045年までに日本の総人口はさらに2000万人減って、1億642万人になると予測しています(2018年3月30日)。
日本の人口推移(予測)
人口減少が続くということは、日本の消費は減り続ける一方となり、その結果、日本はビジネスにおいては成長しない市場という位置づけになります。
実際、日本企業が今、お金を使っているのは成長市場や成長分野への投資で、多くが海外企業との間で行われています。
よく新聞で見かけるM&A(統合・買収)ですが、成長市場の顧客や成長分野の技術を取り込むための施策です。
日本企業の多くはゼロから海外進出するのではなく、顧客も含めた事業を取り込むために海外企業を買収し、スピーディーに海外での売り上げを増加させて、会社全体の売り上げを押し上げようとします。
少子化でマーケットが縮小方向の日本では、日本企業でさえ、成長を海外に見いだし、内部留保を増やすことによって、海外進出の機を図っているのです。
こうしたデータを見るかぎり、預貯金と給与だけを頼りにするべきでないことが分かります。