Rule
価格が下落しない「バーキン」は、
ファッション以上に資産である
移り変わりの激しいファッション業界で、常に「需要>供給」の構図を維持し続けているアイテムがあります。
ファッションにあまり興味がない人でも聞いたことがあるはずのアイテム、エルメスのバーキンです。
私の友達のフライトアテンダント曰く、「2000年代始めのユーロが導入された頃は、バーキンは30万円で買えたのよ」とのこと。
エルメスのバーキンといえば、今では200万円はしますし、新品を購入するのは至難の技です。
彼女の言っていることをもとに計算すると、2003年から2018年の15年ほどの間に、バーキンの価格は30万円から200万円と年平均成長率13・5%で上昇したということになります。
このデータを裏付ける調査データもありました。
インターネットで高級バッグを再販するバッグハンター(Baghunter)の調査によると、バーキンの価格は、1984年の発売当初から一度も下落することなく、毎年その価値が14・2%上昇しているとのことです。
バッグハンターによると、バーキンがこれだけの価格上昇を実現できている理由を、エルメスの「特別な顧客にだけ販売する」という方針により、需要に対する供給不足を実現しただけでなく、「バーキンを持つ」という新しいステータスを提供することに成功した結果、と説明しています。
ブランディングの成功だけでなく、私がすごいと思うのが、バーキンはデザインが発売当初からあまり変わっていないということです。
流行の浮き沈みの激しいこの業界において、同じデザインで 30年以上たっても世界的に供給不足の状態にある商品は稀(まれ)です。
ですから、デザインが安定していて、希少価値があり、根強い需要も世界的にあり、結果として価格が上がり続けているバーキンは、消耗品になりがちなバッグでありながらも資産として認識してもよいのではと思うのです。
バーキンを親子二代で使える資産として考えてみては、どうでしょうか。
バーキンの価格が現在200万円程度だとします。今200万円を子どものために貯金しておいても、為替変動やバーキン自体の値上がりで、20年後にバーキンを買おうにも200万円では買えない可能性もあります。
それならば、今、購入して、大事に使ったバーキンを20年後に子どもに譲った方が賢いのではないでしょうか。
バッグハンターの調査による発売からの14・2%という年率価格上昇率が、向こう20年間続くとしたら、20年後の新品のバーキンの価格は2800万円です。
にわかには信じられない価格ですが、同じように数千万円になったスイス製の時計も存在しますし、あり得ない話でもないかもしれません。
バーキンは、無駄遣いではなく「資産形成している」という確かな実感を持てる上に、「バーキンを持っている」という優越感に浸ることもできます。
さらには流行にとらわれないファッションも身につけられるとは、なんてマルチなバッグなのでしょう。
今後も価格上昇が続くとしたら、ますます手に入りにくいバッグになるので、買うなら今かもしれません。
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