男の油断に甘く、女の油断に厳しい社会
【登場人物】
清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業
森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員
ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員
清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「恋愛と油断」について話しています。前回は同居にまつわる油断エピソードを紹介しました。
森田 どちらかというと「男性の油断」が多かった印象があるよね。
ワッコ 前回は出てこなかったんですけど、「自分の父親みたいな感じに近づいてる彼氏がイヤ」っていうのもよく聞きます。
森田 匂い、体型、服装なんかが「おじさん」化していく。
ワッコ 父親の部屋とか、入った瞬間くさかったですよ。恋人があれになっていくと思うとつらい。ありのままでいたら、ああなっちゃうの?って。しかたないとはいえ、ねえ……。
清田 俺と森田専務はもうアラフォーなので、気を引き締めていかねば……。おじさんくさいのいやだよ~。
ワッコ ところで、男性から見た「女性の油断」の話はないんですか? わたしは彼氏と会う日にノーメイクだったとき、「気を抜きすぎてない?」と指摘されたことがありますが。
清田&森田 えええ!?
清田 その感覚、マジでわからないわ。彼女がメイクをしてる日としてない日があるのはわかるけど、それがなぜ油断ってことになっちゃうの?
ワッコ 恋人に「現役感」がなくなるのを、男性はいやがるんじゃないですかね。
清田 「女を捨ててる」みたいな言葉もあるもんね……。そういう意味では、男よりも女の人のほうが圧倒的に気を抜きづらい社会だと思う。例えば男の人がおならをするよりも、女性がおならをするほうがハードル高いってのは確実にあるわけで。
森田 お化粧もそうだよね。外見や身だしなみに関する油断については男女格差がある気がする。
実録・森田専務の鼻毛パトロール
森田 って、えらそうに話してるけど、俺も妻に「厳しい」って言われることがありまして……。
清田 メイクとか服装に対して厳しいってこと?
森田 いや、うちの場合は妻の鼻毛なんですよ。
ワッコ さらっと言いましたけど、その話ここで出して大丈夫なんですか? 奥さん怒るんじゃないかなあ。
森田 ちゃんと許可とってあるから大丈夫……だと思う。だから続けるけど、うちの妻は鼻がちょっと上を向いているんだよね。そうすると、鼻の穴が人より見えるわけです。
清田 俺から注釈入れときますが、森田の妻は美人ですからね。欅坂46の平手さんにそっくりだなって会うたび思うもん。
森田 うん、俺も美人だと思う。でもまあ、鼻の穴は普通よりオープンだから、中の毛が見えやすいんだよ。不利なんだよね。
ワッコ 有利不利の問題なんですか!?
森田 俺はそう思ってるんだけど、ただ、彼女は不利な割に無頓着なところがあって、たまに毛が見えてることがあるんですよ。それが気になるから指摘する。
清田 鼻毛警察!
森田 いや、自分が気になるだけじゃなくて、会社とかで見えてたらそれは彼女にとってもよくないのではないかと思って。
ワッコ 「彼女にとって」という表現、ハラスメントの匂いがしますよね。
清田 するする、ハラの匂い。鼻毛モラハラだよ。
森田 そうか、そうだよね、気をつけます……。とはいえ俺は鼻毛警察として日々勤しんでいて、自分の鼻毛カッターを妻と共用するようになったりしてるんだけど、ある日二人で電車に乗っていたら妻の鼻から毛が見えていたことがあった。
ワッコ チェックが厳しすぎるんじゃないですかね。
森田 そうかもしれない。でもその時はどうしても気になったから「ちょっと見えてるよ」と伝えた。そしたら、「じゃあ抜いて」って言われたんです。
清田 気になるならおまえが抜けと。
森田 それで駅の改札脇の物陰に行きまして。
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