もしも配偶者が「山小屋で働きたい」と言ったら……?

昨年までの10年間、山小屋で働いていた山ガールならぬ小屋ガールの吉玉サキさん。山小屋スタッフは独身のイメージが強いかもしれませんが、実際には、山小屋で出会って結婚する人や、家族を残して働きに来る人も多いです。いい夫婦の日に、山小屋ではたらく既婚スタッフの家族の話をお届けします。(毎週木曜日更新)

注文されたメニューを運んで「ごゆっくりどうぞ~」とテーブルを離れたとき、お客様の山ガールふたりが「あのお姉さん、結婚指輪してたよ」とヒソヒソ噂していたことがある。タイミング的に私のことだ。

同僚に「私が結婚してるのって意外なのかな?」と言うと、「サキちゃんがどうってことじゃなくて、既婚者が山小屋で働いてるってふつうは思わないよ」と言われた。

なるほど、山小屋スタッフは独身のイメージがあるのか……。

山小屋スタッフと言えば若者が多いイメージだけど、私が働いていた小屋は20代後半~40代のスタッフが多く、既婚者もけっこういる。

各小屋の支配人はほとんど既婚。私と夫もそうだし、既婚者が山で働くことは私にとって当たり前のことだった。

だけど、世間の認識はそうではないらしい。


既婚スタッフは単身赴任が多い!

山小屋は職場結婚が多い。各小屋の支配人は、ほぼ全員が山小屋で出会った人と結婚している。

だけど、私たちのように結婚後も夫婦そろって山小屋で働くパターンは意外と少ない。

だいたいは、ふたりとも山小屋をやめてしまうか、夫だけが山小屋を続ける単身赴任パターン。そういえば、妻だけが山小屋を続けるパターンはまだ見たことがない。

夫が山小屋で働く単身赴任家庭は、一年のうち半分以上、家族が離れて生活することになる。

そう聞くとなんだか寂しい感じがするけど、上司たちのご家族はみんな、寂しそうには見えない(もちろん心の中はわからないけど)。

単身赴任家庭でも寂しくなさそうなのは、山の麓の町にコミュニティが形成されているからだ。

山小屋で出会って結婚した夫婦はその後、山の麓に住む傾向がある。

近所に山小屋時代のスタッフ仲間がたくさん住んでいて、各家庭の子どもたちも生まれたときからの幼なじみ。

そういう環境だから、安心して単身赴任ができるのかもしれない。

もちろんすべての人にその暮らしが向いているわけではないだろう。

けれど、少なくとも私の周りの既婚スタッフはみんな、家庭が円満だ。


結婚してるのに山小屋に来るのは悪いこと?

山小屋で出会って結婚する人が多い一方で、既婚者が山小屋に働きにくるケースも増えている。

下界に妻を残して働きにくる男性もいれば、夫を残して働きにくる女性も。毎年ひとりかふたりは、私以外にも既婚の女性スタッフがいた。

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小屋ガール通信

吉玉サキ

第2回cakesクリエイターコンテスト受賞作! 新卒で入った会社を数ヶ月で辞めてニート状態になり、自分のことを「社会不適合者」と思っていた23歳の女性が向かった新天地は山小屋のアルバイト。それまで一度も本格的な登山をしたことのなかった...もっと読む

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コメント

etozudeyoshida 📷 https://t.co/0rNcxezc7s https://t.co/wOtRObxkP1 5ヶ月前 replyretweetfavorite

etozudeyoshida まだ読んでいない方、よろしければ是非! 8ヶ月前 replyretweetfavorite

tokizo 何ともタイムリーな話題。 これを1ヶ月前に読んでたらまた違った選択あったかな?(笑) 8ヶ月前 replyretweetfavorite

nagoyatabijo サキさんのエッセイ好きだな。 なんで好きなんだろー?と考えたときこのエッセイに答えがあったわ。常に自分で選択をして、他人の選択も尊重できる人側が文章にそこかしこに出ているんだな。 https://t.co/V2NGWiQTeF 8ヶ月前 replyretweetfavorite