地盤と建物の「波長」が合うと恐ろしいことになる

国民の半数が被災者になる可能性がある南海トラフ大地震。それは「来るかもしれない」のではなくて、「必ず来る」。関東大震災の火災、阪神・淡路大震災の家屋倒壊、東日本大震災の津波。その三つを同時に経験する可能性がある。首都圏を襲う大地震も懸念される。
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「プリン」と「お菓子」で分かる建物と地盤

 冒頭の「たらい」に続いて、今度は「プリン」を用意してみましょう。どこにでも売っている「プッチン」できるものが便利です。まずは蓋をめくって容器に入れたまま左右に揺すります。中のプリンはなかなか揺れませんね。ではプッチンして、プリンをお皿の上に乗せてみます。
 そのまま食べるのはちょっと我慢して、お皿ごと揺すってみると、容器のなくなったプリンはプルプルと、よく揺れますね。最初の容器に入れた状態は周辺が山に囲まれた盆地の揺れを表し、お皿に乗せるとよく揺れる沖積低地の地盤に近づきます。
 では、プリンの上に「キノコ」の形をしたお菓子と「タケノコ」の形のお菓子を乗せてみましょう。キノコは軸の部分をプリンに突き刺し、タケノコはそのまま置いておきます。そしてまた皿ごとプリンを揺すると……。タケノコの方がきっとよく揺れて、倒れると思います。これを建物に当てはめれば、キノコが杭基礎、タケノコが直接基礎と呼ばれる基礎のつくり方の違いになります。タケノコを少しプリンに押し込むと、地下室付きのビルになります。すると、揺れが小さくなるでしょう。プリンの一部を食べてみると、崖地形ができます。揺すってみると、崖の上の揺れが強いことが分かります。
 他にもババロアや羊かん、豆腐、こんにゃくなど、食べたり調理したりするときにちょっと揺すってみてください。豆腐は「絹ごし」と「木綿」で硬さが違いますから、揺れ方も違います。硬さや厚さによって、よく揺れる揺らし方があるはずです。羊かんは硬いので、お皿の上で揺すってもほとんど揺れないことがイメージできるでしょう。プリンや絹ごし豆腐は軟弱地盤、羊かんは堅い良好な地盤に例えられます。
 ただし、本物の地盤は羊かんの上にプリンが乗っていて、しかもプリンの厚みが一様ではありません。

基礎と直接基礎

 熊本地震の被災地も、そうした「羊かん+プリン」のような地盤の上にありました。激震地だった益城町は、木造住宅の密集地の下を川が流れています。川沿いは通常、プリンが厚い軟弱地盤です。しかし、今回は必ずしも川沿いだけではなく、川から少し離れた住宅地でも大きな被害が見られました。これを理解するためにはプリンとキノコやタケノコ、つまり地盤と建物の関係をさらに詳しく見ていかなければなりません。

地盤の周期、建物の周期

 地盤や建物の揺れの特徴は「周期」で表されます。振り子をイメージしてください。5円玉にひもを結んで吊り下げたようなものでよいでしょう。それを右から左に振って、もとの位置に戻ってくるまでに何秒かかるか数えてください。1秒かかれば「周期1秒」、2秒なら「周期2秒」と言います。
 振り子では地震のイメージにつながらないかもしれません。机の上に鏡を平らに置いて、鏡をのぞき込むようにしてそこに映る振り子を見てください。すると、下で5円玉が左右に揺れているように見えます。地震のときは机も建物もこのように揺れます。左右にグラグラと1秒かけて揺れたら、「周期1秒で建物が揺れた」と言うのです。

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福和伸夫

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