蘇る金狼』を観た帰り道で補導されたベビーフェイス

ファンクラブまで結成された危険なベビーフェイスの山口少年は、『蘇る金狼』を観た帰り道で補導されてしまう。
とびきりかっこいいデザインだけでなく、還暦目前のプロ童貞としての独自の視点に基づく発言とライフスタイルも多くの業界人から支持されている山口明(58歳)の自伝『ワイルドチェリーライフ 山口明 童貞力で一億総クリエイター時代を生きる』は、遂に高校時代に突入。

いまだにロックは破壊的であってほしい


──さて、いよいよ高校時代に突入しますけど、ショッキングなことに高校時代の山口さんってファンクラブがあったほどモッテモテだったらしいですね!

山口 そうだね(即答)。

──本題に入る前に、まずどんな高校生だったか聞かせてくれますか?

山口 高校に入って、いよいよロックに目覚めたんだよ。同じクラスになった奴がローリング・ストーンズが好きで、シングル盤をまとめて貸してくれてさ。それまでボブ・ディランを聴いてたからすんなり入れたんだよね。でも、ジェット・ボーイズのオノチンも言ってたんだけど、当時ってストーンズのレコードをあんまり売ってなかったのよ。初期のレコードが廃盤だったりで。リアルタイムの『山羊の頭のスープ』とかは売ってたんだけどね。

──好きなレコードってあったんですか?

山口 いや、それがストーンズには当時そこまでハマらなかったんだよな。あ、でもイヤなことがあると、「みんな死ね」って思いながら夜中にストーンズの「ギミー・シェルター」を聴いたりしてたな。ちなみにストーンズが初めて来日した時にオレも当然行ってさ。オレは後ろの方の席だったんだけど、前の方には広告代理店みたいな、スーツ着たような奴らがいっぱいいて「オレが高校生の時に『みんな死ね』って思いながら聴いてたストーンズと違うぞ」って心底ガッカリしたよ。だから、いまだにロックは破壊的であってほしいっていう願望があるね。

──ストーンズ以外だとどんな音楽を聴いてました?

山口 むしろストーンズよりもピンク・フロイドとかレッド・ツェッペリン、キング・クリムゾンとかのほうが好きだったな。当時はピンク・フロイドの『狂気』なんて誰の家にもあったし、イギリスのロックが最先端の時代だったからね。買う雑誌も『ロードショー』をやめて、『rockin'on』とか『ミュージック・ライフ』になったよ。映画スターのカッコよさよりも、ロック・スターのカッコよさに気づいちゃったんだよな。

──じゃあもちろん部屋のポスターにも変化が?

山口 そうだね。ボブ・ディランもマカロニ・ウエスタンも外しちゃって、ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンになっていったね。見た目にも変化が出てさ、髪の毛が自然と長くなっていって、Gパンにハイヒールのブーツ履いてウエスタンシャツ着たり、分かりやすいロック少年になっちゃったんだよ。

高校の3年間は生きてるフリしかしてなかった

──絵はどうだったんですか?

山口 絵画教室にも相変わらず通ってたんだけど、油絵に興味がなくなったんだよ。ゴッホの後にマックス・エルンストって画家も好きになったりしたんだけどね。でも、その頃は美大に行く気がまったくないし、横尾忠則の本ばっかり読んでたり、ツェッペリンとかピンク・フロイドのジャケットデザインをやってたヒプノシスっていうデザイナーチームが好きで、なおかつアンディ・ウォーホルとかも知っちゃうからさ。

──ポップアートのほうに行くんですね。

山口 だから絵も横尾忠則のパクリになったな(笑)。修学旅行のしおりみたいなのをデザインしろって言われて、モロに横尾忠則テイストなデザインにしたのを覚えてるよ。でも、当時「アンディ・ウォーホルが好き」なんて言ってたら、美術の先生なんかは「なんだそれ」みたいな感じで嫌がってたんだよ。

──今では考えられないですね。

山口 『限りなく透明に近いブルー』で村上龍が芥川賞を取った時、「影響を受けた作家は?」って質問に「ローリング・ストーンズとアンディ・ウォーホル」って言っててイカすな~! って思ったね。だから村上龍の小説は読んだもん。

──村上龍も美大出身で、装丁を自分でやったりしてましたもんね。でも、学校の友だちたちとは会話に困りませんでしたか?

山口 困るどころか、まだサブカルって言葉もない時代だからかなり浮いてたよ。学校生活も馴染めなかったなぁ。とにかく高校3年間は地獄だったのよ。右翼的で体育会系の学校でさ。周りの奴らは基本は頭の悪いヤンキーだらけだからね。地獄でしょ? ヤンキー相手にヒプノシスの話なんてできねーじゃん。ホント、高校の3年間は生きてるフリしかしてなかったね。キツかったな~。

隣の学校にファンクラブができちゃった
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ワイルドチェリーライフ 山口明 童貞力で一億総クリエイター時代を生きる

山口明 /市川力夫

とびきりかっこいいデザインだけでなく、還暦目前のプロ童貞としての独自の視点に基づく発言とライフスタイルも多くの業界人から支持されている山口明(58歳)の人生を追い、劇的に変化を続ける男女問題、やがて人口の約4割が独身世帯「ソロ世帯」に...もっと読む

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