なんでもかんでもゴッホのタッチ
──中学生になってからは何か変化がありました?
山口 とくにねぇな~。勉強も運動も相変わらずダメで、背もちっちゃくて137センチしかなかったのよ。そんな小さい制服がなくてさ、いちばん小さい制服を直してもらって着てたよ。いつも背の順はいちばん前だったね。趣味はプラモデルとかも飽きてきちゃって、ラジオで洋楽を聴くようになっていったな。日曜の朝に「ポップスベスト10」っていう洋楽ランキング番組をやってたのよ。それから当時は毎日のように洋画がテレビ放映されてたから、マカロニ・ウエスタンとかフランスのギャング映画ばっかり観ててさ。映画館にも通い出して、愛読書も『ホビージャパン』から『ロードショー』に変わって、完全に映画にのめり込んでいくんだよ。それでマカロニ・ウエスタンのサントラレコードを買うんだけど、親からは「なんで同じものばっかり買ってるんだ?」って言われたよ(笑)。
──興味ない人からすると、ジャケから音まですべて同じですもんね。女の子への関心はあったんですか?
山口 なかったなぁ。むしろ将来のこととかで頭がいっぱいだったよ。基本的に今の今までそうなんだけど、自分にしか興味ないからね。あの頃の中学生なんて今よりもっと幼いだろうし、周りのみんなもそこまで恋愛に興味なんてなかったんじゃねーか?
──好きなアイドルとかもいなかったんですか?
山口 ないな~。オレが中学の時のアイドルって桜田淳子や山口百恵よ? 好きになるか?
──なってもおかしくないですよ。じゃあ映画だったり、『ロードショー』のグラビアで海外女優を好きになったりはしたんですか?
山口 それはあったね。ナタリー・ドロンが好きだったなぁ。
──『個人教授』じゃないですか。やっぱり大人っぽい女の人が好きだったんですか?
山口 そうだな~。熟女マニアの片鱗があるね。あと通ってた絵画教室にちょっと年が上のお兄さんがいてさ、その人にいろいろ教わったりしてたから、同級生と比べると文化面は進んでたのかもしれないな。頭脳警察のアルバムを借りたりね。
──兄貴がいる奴とかそうですもんね。ちなみに絵画教室ではどんな絵を描いてたんですか?
山口 オレが最初にハマった画家がゴッホだったんだよ。絵画教室にたくさん画集があって、いろいろ観てたらいちばんピンときたのがゴッホで。それですぐに画集買ってさ、ゴッホの真似ばっかしてたよ。
──すごい中学生……。
山口 なんでもかんでもゴッホのタッチで描いてたよ。松戸のちょっとした風景画を描く時もゴッホのタッチ。
──逆に難しそうですよ、それ(笑)。
学校の怖い人たちに拉致られアフロの絵を描く
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