山口明……WHO WARE YOU?
総務省統計局の国勢調査によると、2040年には単身世帯の割合が4割を超えるという。「ソロ社会」時代の到来、なんて言われている。さらに、昨今では「若者のセックス離れ」なんていうこともよく聞くようになった(これは現実のアンケート調査の結果だというが、とはいえ「セックスしてますか?」なんてフザケたアンケートに対し生真面目に答える暇人は多くないはずなので眉唾ものだが……)。
まぁとにかく、世はついに<ヤらない時代>に突入した。
そして、そんな混迷の時代のはるか先を行く男がここにいる。
男の名は山口明(愛称・グッチー)。現在58歳。筋金入りの童貞。人体実験か、はたまた神へ近づく修行か。恋愛経験すらもナシ。加えて、元売れっ子デザイナー。病的ともいえるおしゃべり。なのにケータイ、スマホの類は一切持たず、毎日乙女のように占いを気にし、大量のAV(アダルトビデオ)に埋もれ、ファッションはいつも革ジャン、革パン、サングラス。わけが分からない。
山口明と交流のある人々から彼の印象を聞いてみると、それに拍車をかけるようにさらにわけが分からなくなかもしれない。
「盗撮ものAVも大好きで一家言あり。“部屋を真っ暗にして、双眼鏡で見るんスよ〜。冬場は窓開けてコート着て。臨場感が違う”んだとか。50オーバーの童貞が実家の2階でやってることがこれだと思うと最高にカッコ良すぎて涙が出るが、実際の覗き行為など逮捕されるようなことは決してせず、あくまでバーチャル覗きとしての精度を上げるのが童貞流」(掟ポルシェ/ロマンポルシェ。)
「電話で3時間くらい話していたら、ほとんど山口さんが喋っているはずなのに、僕が酸欠状態になり倒れた」(石原まこちん)
「山口さんが近づいてくると、ヤリチンが付けてそうな香水の匂いですぐわかる」(オノチン/JETBOYS)
「ヴィスコンティの話をした1分後には、『いつもチンポの先が濡れてますからね!』と大声で自身の性器の状態を報告するスピード感、品性と下衆さのバランスこそ彼の魅力なのではないかしら」(イライザ・ロイヤル)
「僕は二つ折りの携帯をズボンのポケットに入れてたんですけど、喫茶店に入って座る時にそのポケットの膨らみを見て『それチンポ?』ってデカい声で聞いてきて(笑)」(小田原ドラゴン)
これらの証言だけでも山口明の特異性が分かっていただけるだろう。さらに、山口明と話したことがある人すべてに共通するのが、話し終わった後に全く記憶に残らないということ。SNSでパソコンを持たない彼の魅力を代理して広めている編集者・廣瀬裕美氏は、「それがなんにも覚えてないんですよ。全身真っ黒の服というのと、とにかくずっと喋ってるじゃないですか。でも、喋ってる内容も覚えてないし……。正直、山口さんと喋ったことって覚えてます? 全然覚えてないんですよ! 断片的には覚えてるんですけどね」と語る。また、ライターのギンティ小林氏は山口明とのファーストコンタクトを例に出すと、「このまま童貞を貫こうと思ってるから! 童貞を売りにしようと思ってるんすよ! どうですかねえ!? あ、でも、オレ、熟女が好きなんですよお! 毎朝、『はなまるマーケット』の岡江久美子を見るのが楽しみなんですよお! 岡江久美子どう? あんま好きじゃない? イカンですね~。あ、あと、いつかレディースに襲われて、輪姦されるのが夢なんですよねえ! ギンティくん、オレを輪姦してくれるレディース知りませんか⁉」とまくし立てられたという。生涯童貞宣言をした矢先に輪姦への夢を語るパラノイアっぷり。調べれば調べるほど深まるわけの分からなさ。
『ワイルドチェリーライフ 山口明 童貞力で一億総クリエイター時代を生きる』では、そんな山口明という特殊な男の特殊な人生を事細かに辿り、その独特な生き方、思考を徹底的にさらけ出してもらった。なかには正気とは思えない、下品な発言の数々もある。そこは「童貞だから」と大目にみてほしい。
58年間童貞の男の言葉、それは多くの人にとって宇宙人レベル、未知との遭遇なのではないだろうか。そんな彼の言葉を、<ヤらない時代>をサバイブするための道標にするもよし、子育ての参考にするもよし、もちろんあざ笑うもよし……。
ヤらないことが偉いとは言わない。ただ、長年ヤらずに生きてきた男だけが辿り着いた境地がある。長年ヤらずに生きてきた男だけが言えることがある。それに耳を貸す価値は、たぶん、ある。
文:市川力夫 編集:松原“マッさん”弘一良
山口明の事務所ROCKERSの年賀状(1999)
次回、遂に衝撃の自伝がスタート!
「地元でGジャン旋風を巻き起こした山口少年は床番長になる!」の巻!!
本日も童貞戦線、異状なし!!