第6回】 ワインは食事を楽しむツール ~田崎真也(国際ソムリエ協会会長)インタビュー

日本にワインブームが到来しているものの、かつて何とか購入できた高級ワインが、今や高嶺の花となっている。国際ソムリエ協会会長の田崎真也氏に、上手なワインとの付き合い方を聞いた。


たさき・しんや/1958年、東京都生まれ。
77年に渡仏してワインを勉強。
95年に世界最優秀ソムリエコンクールで優勝。
2008年には「現代の名工」を受賞。
10年、国際ソムリエ協会会長に就任。


──高級ワインが高騰しており、ワイン愛好家には頭が痛い問題だ。

 確かにボルドー産など一部の高級ワインは中国の旺盛な購買意欲によって高騰している。ワインの品質も上がっているのは事実だが、異常な高値だ。ただ、中国市場も変化しており、他の産地にも視野が広がってきたので、いずれ正常化するだろう。

 

──値段が高過ぎて、手が出せない。

 実は高級ワインでも、それほど値上がりしていない銘柄は多い。ボルドーの5大シャトーにこだわらず、さまざまなワインを試してみるいい機会になるだろう。

 フランス人の多くは、安くて、人があまり知らない、コストパフォーマンスがいいワインを探すことを楽しんでいる。日本でもそうした愛好家が増えているのではないか。

 

──国内は第7次ワインブームといわれるほど、出荷量が増加している。かつてのブームとは何が違うのか。

 昔はワインといえばフランスワインが半分で、そのうち半分がボルドー産だった。ブランドにつられて飲んでいたのだ。高級ワインに氷を入れて飲む人もおり、ワインの楽しみ方自体が一般的ではなかった。

 ところが現在のブームは、ブランドよりも味やコストパフォーマンスを重視している。居酒屋、寿司屋など、あらゆるお店で取り扱うようになり、日常生活において楽しむ人が増えてきた。ワインを取り入れた食文化がようやく成熟期に入ってきたのではないか。

 

──スパークリングワインの人気も高まっている。

 バブルのころ、シャンパンは12月だけで年間の90%が消費されていた。誰もがクリスマスイブにフレンチレストランでコース料理を食べ、店は2回転していた時代だ。「おしゃれ」のイメージが先行していた。

 今は地に足が着いた消費で、通年で飲むようになっている。食前や食事の間に楽しんだり、2軒目でも好きな人は飲んだりしている。

 

──日本でのワイン消費はまだ伸びる余地があるか。

 私はワインの消費だけが伸びればいいと思っているわけではない。TPOに合わせたお酒を楽しむことが重要だ。日本では「とりあえずビール」を注文する男性が多いが、これでは食事を楽しめない。例えば、寿司には必ずしもビールが合うわけではなく、私の好きなレモンサワーやワインが適している。

 お酒は、食事を楽しむためのツールだ。今流行の女子会は、おいしい食事を食べながら友達との会話を楽しむ場所で、お酒が欠かせない。中でもワインはそれ自体にストーリーがあり、会話のネタになりやすい。食事を楽しむ人が増えれば、自然とワインの消費も増加するだろう。

 

──ワイン消費の裾野を広げるにはどうすればよいか。

 ワインの消費が増えているといっても、東京に一極集中しているのが現状だ。全国にワイン文化を広めることが必要だろう。
 日本ソムリエ協会は今年からワイン検定を行う。これは家で楽しくワインを飲むための基本的な知識を習得するもので、注目している。


以上



 

週刊ダイヤモンド

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ワインブーム 【2】~光と影~

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世界がワインブームに沸いている。高級ワインの価格が、数年でかなり高騰しているというのは前回お伝えした通りだが、一方、1本500円に満たなくても品質のよいワインが世界中を大量に駆け巡るようになり、日本でも人気を博している。引き続きブーム...もっと読む

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mawari9612g …cont) 【2】~光と影~|cakes(ケイクス) https://t.co/PtkcR3u58o” 4年以上前 replyretweetfavorite

hiro_stbdinc 日本でもワインを食文化に取り込む成熟期!いいですね(*^^*)“@mawari9612g: ” 4年以上前 replyretweetfavorite