今日のメニューは鶏そぼろとそれを使った親子丼です。
鶏そぼろのそぼろは「細かいこと。細かに刻んだもの。また、そのさま」(日本国語大辞典)という意味。タイやタラなどの魚や鶏肉、豆腐をすりつぶして炒り煮にした料理を指します。冷蔵庫がない時代、濃いめの味付けでしっかりと火を通しておけば、翌日でも安心して食べられる、という昔の知恵です。
鶏そぼろは数日は保存できるので、忙しい現代人にもぴったり。
やわらかジューシー鶏そぼろ
材料
鶏ひき肉 300g
醤油 大さじ4
上白糖 大さじ4
酒 大さじ4
鶏ひき肉は鮮度が重要。選ぶ時はパックの底にドリップ(薄い赤色の液体)がたまっていないものを。スーパーによって鶏ひき肉は「鶏むね挽肉」「鶏もも挽肉」と区別されて販売されている場合もあります。どちらを選べばいいのか、という問題ですが「鶏むね挽肉」を使うとあっさり目に、「鶏もも挽肉」を使うとしっとりとした仕上がりになります。そぼろ丼の老舗は材料の挽肉に脂分の多い鶏の首肉を混ぜてこく味を出していることが多いので、お店の味に近づけたいなら「鶏もも挽肉」を選びましょう。
もしも、表面がドリップや結露で湿っていたら、キッチンペーパーで水分をとります。
1.鍋にすべての材料を入れて、菜箸で肉をほぐす
*砂糖がおいしさの秘密
煮魚のときにはミリンを使いましたが、肉には砂糖を使います。砂糖には肉をやわらかくする効果があるからです。
肉を加熱していくと筋繊維が収縮し、水分が出てくることは、この連載のなかでも何回か言及しています。この挽肉も同様に加熱していくと筋繊維が収縮して硬くなります。しかし、砂糖で煮ることで筋繊維のすきまに砂糖液が浸透し、タンパク質が凝集して固くなるのを抑制してくれます。これが砂糖で煮るとやわらかくなる理由です。同じように砂糖の力で肉をやわらかくする調理法に「すき焼き」があります。
2.中火にかけて菜箸でかき混ぜながら加熱していく。わり箸を4〜5本、手に持って混ぜると塊がほぐれやすい。沸騰してきたら火を弱火に落とす。
*下茹でする必要はなし
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。