第7回】最初は、根拠なんてなくていい

「偶然」や「未知のこと」に重きを置く尾関プロデューサー。だからこそ『ブラタモリ』も企画段階で「マーケティングリサーチ」は一切しませんでした。企画の「伸びしろ」を狭めてしまうからと言います。では、尾関さんはなにを大切にして企画を立て、実現させていくのでしょうか。 「誰にでもいい企画を考えるチャンスはある」という言葉の真意を問いました。

マーケティングはしない

悪い意味での「思い込み」を生む、最も大きな原因のひとつが「マーケティングリサーチ」です。

ぼく自身は番組づくりをしてきて、マーケティングリサーチが必要だと感じたことはありません。

テレビ番組になにが求められているのかを調べるのは、難しいことです。リサーチすれば「こういう番組が求められている」というテーマはわかるでしょうが、そのまま作っても人気番組はできません。


たとえば『ブラタモリ』の企画段階で、市場調査をしたことはありません。

そんなことをしたら、企画の伸び代(のびしろ)を狭めてしまうかもしれませんし、この番組も生まれていなかったでしょう。

世の中で街歩きが流行っているらしいということは、番組が始まったあとで実感したほどです。


最初にイメージしたのは、「タモリさんが街を歩くと面白いのではないか」というシンプルな部分。

そして、「少し前に坂道の本を出しているタモリさんは、街歩きや古地図にも興味があるようだ」ということ。

そこで、「江戸の古地図を持って今の都会の街並を歩いたら何が見えるのか……?」

そんな流れで番組のイメージを構築していきました。

根底にあるのは、制作スタッフの中にある普段から積み上げられた情報と感覚です。

「こうしたらいいんじゃないだろか」と思いつつ、具体的な根拠ははっきりしない状態なのです。

番組が放送されて初めて、マーケティング的に外れていないか? ということが見えてくるのです。

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ブラタモリ』を生み出した  脱・マーケティングの企画術

尾関憲一

終了から1年今なお再開を望む声が寄せられる、探検散歩番組『ブラタモリ』。マニアと思われていた地理や歴史の世界を鮮やかにヒットにつなげたのはNHKの敏腕プロデューサー、尾関憲一氏でした。『東京カワイイ★TV』『天才てれびくん』『熱中時間...もっと読む

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