FOK46—フォークオーケン46歳
【第20回】サイレントギター

筋少のライブ前日、父親から「兄が死んだ」との一報を受けたオーケン。疎遠だったとはいえ、実の兄の凶報を聞いたオーケンは、それでも筋少ライブの臨むことを決意します。大槻ケンヂ40代の私小説、ついに第20回です。

 兄の慎一と僕とは長いこと疎遠であった。
 どれくらい付き合いがなかったかというと、僕は兄が結婚したことを一年近くも知らなかったほどだ。
 ある年の正月に実家に帰った。見知らぬ女性がいて家の中をテキパキと切り盛りしていた。
「お父さん、ビール飲む?」
「お母さんおもち煮えたからね」
 などと言って、実の息子である賢二などより家に完全になじんでいる。

 ん? 誰だっけ? こんな親戚いただろうか…ハッ! と気付いてその女性が席を立った時に両親に小声で尋ねた。
「もしかしてあの人、兄貴の奥さん?」
「そうだよ」
 と母がシレッと答えた。
「え? 兄貴結婚したの?」
「したよ。知らないのか?」
 と逆に父。
 すると母が「賢二は知らないよ。だって言ってないもん」
 え? なんで?
「お前が来ると親戚がサインしろとか言ってうるさいから結婚式呼ばなかったんだよ」
「あ〜そうだった、そうだったな。それにお前、慎一とそんなに会話もないだろ」
 と、父母にキッパリ言われたぐらいの疎遠であったのだ。

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小説 FOK46—フォークオーケン46歳

大槻ケンヂ

30年以上音楽活動を続けてきた、ロックミュージシャンの大槻ケンヂ。楽器演奏と歌を歌うのを同時にできないという理由で、ボーカルに徹してきた彼が、2012年、ギターの弾き語りでのソロツアーを始めた。その名も『FOK46(フォークオーケン4...もっと読む

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