第241回 無限のキャンバス(前編)

数学苦手な新キャラ登場!
ユーリの同級生「ノナ」の登場で《数学トーク》はどう展開していくの?
「数学ガールの秘密ノート」新シーズン開始!

登場人物紹介

:数学が好きな高校生。

ユーリのいとこの中学生。 のことを《お兄ちゃん》と呼ぶ。 論理的な話は好きだが飽きっぽい。

$ \newcommand{\NONAMACROBASE}[2]{\texttt{..}{\scriptstyle #1}#2} \newcommand{\NONAMACROBASEREV}[2]{#1{\scriptstyle #2}\texttt{..}} \newcommand{\NONAMACRO}[1]{\NONAMACROBASE{#1}{#1}} \newcommand{\NONAMACROREV}[1]{\NONAMACROBASEREV{#1}{#1}} \newcommand{\NONA}{\NONAMACROBASE{\textrm o}{\textrm O}} \newcommand{\NONAX}{\NONAMACROBASE{\textrm x}{\textrm X}} \newcommand{\NONAQ}{\NONAMACRO{?}} \newcommand{\NONAQREV}{\NONAMACROREV{?}} \newcommand{\NONAEX}{\NONAMACRO{!}} \newcommand{\NONAHEART}{\NONAMACRO{\heartsuit}} \newcommand{\PAIR}[2]{\langle#1,#2\rangle} \newcommand{\MUL}{\mathbin{\ast}} \newcommand{\NEQ}{\neq} \newcommand{\REMTEXT}[1]{\textbf{#1}} \newcommand{\SET}[1]{\{\,#1\,\}} \newcommand{\SETM}{\,|\,} $

僕の部屋

は高校生。いまは土曜日。

ここはの部屋。

いつものように、いとこのユーリが遊びに来てる。

でも、今日はいつもと違う。

今日は《もう一人の女の子》もいっしょなのだ。

ユーリ「……そんで、このかわいい子がノナだよ。ユーリとおんなじクラス」

ノナと呼ばれたその女の子は、に向かって頭を下げた。

彼女はユーリよりは一回り小柄。

中学生だけど、小学生のようにも見える。

登場人物紹介(追加)

ノナユーリの同級生。

「ノナちゃん?」

ノナ「はい$\NONA$」

ノナは、ふわふわした声で答えた。

彼女はベレー帽をかぶり、丸い眼鏡を掛けている。

幼く感じるのは、やや目尻が下がった垂れ目のせいかもしれない。

ベレー帽から顔の正面に下がったノナの髪は、ひとふさだけ銀色。それが印象的だ。

ユーリ「お兄ちゃん! ノナのこと、じろじろ見ないで!」

「あ、ごめん」

ユーリ「でも、ノナの銀髪(ぎんぱつ)、カッコいいっしょ? ひとふさだけの銀髪メッシュなんだよ!」

ノナ「カッコよくないよう$\NONA$」

登場人物紹介(更新)

ノナユーリの同級生。

ベレー帽をかぶってて、丸い眼鏡を掛けていて、ひとふさだけの銀髪メッシュ。

「それで……えっと、ユーリ? ユーリは今日、ノナちゃんと一緒に来たんだよね」

ユーリ「そーだよ」

「これからいったい、何が始まるんだろうか」

ノナ「ユーちゃん……何も言ってなかったの$\NONAQ$」

ユーリ「要するに、数学を教えるんだよん」

「数学を教えるって……誰が?」

ユーリ「お兄ちゃんが」

「誰に?」

ユーリ「ノナに」

ノナ「よろしくお願いします$\NONA$」

「そう言われても……」

ユーリ「いーの、いーの。いつもと同じでリラックスして話せばいーんだから」

「何だそりゃ」

ユーリ「あのね、ノナは、あんまり数学得意じゃないんだよー。だから、ていねいに教えてね」

ノナ「数学、ぜんぜんだめ$\NONAX$」

ユーリ「でも、興味はすんごくあるんだよねー」

ノナ「だって、ユーちゃんの話、おもしろいから$\NONA$」

ユーリ「えー、そっかなー」

ノナ「そうだよう……この前も$\NONA$」

ユーリノナ、仲良し中学生女子二人の会話が始まった。

は、しばらく放置状態になる。

漏れ聞く会話を総合すれば、こういうことらしい。

ノナは数学があまり得意じゃない。というか苦手。

授業もよくわからないし、テストで点が取れない。

でも、ユーリノナにおもしろい数学の話をするから、興味がある。

よく話題になる《お兄ちゃん》とやらの話を聞きたい。

(ちなみに《お兄ちゃん》というのはのことだ)

ということで、ユーリノナがいっしょにやって来た……

「……ということか」

ユーリ「そーゆーことだ」

ノナ「よろしくお願いします$\NONA$」

「と言われても、何を話せばいいのかなあ。ノナちゃんは数学苦手なの?」

ノナ「はい$\NONAX$」

「それとも数学が嫌いなの?」

ノナ「はい$\NONAQ$」

「得意・不得意と、好き・嫌いは違うよね」

ノナ「よくわからない……わかりません$\NONA$」

「ノナちゃんは、数学の授業は好きじゃないの?」

ノナ「嫌い$\NONAX$」

「嫌いなんだ」

ノナ「つまらない$\NONAX$」

「どうして授業がつまらないか、パラフレーズ……どうしてかわかる?」

ノナ「わからないから$\NONAX$」

「なるほど。難しいのかなあ」

ノナ「公式、嫌い$\NONAX$」

「覚えるのが嫌い?」

ノナ「わけがわからないから$\NONAX$」

は考える。

なし崩しにノナに数学を教える流れに巻き込まれているけど、 何もないところから《数学の話》なんてできないぞ。 何かとっかかりはないかなあ……

ユーリは、ノナのやりとりを黙って聞いている。

「……ねえ、ユーリ。ユーリはたとえばどんな話をしてたの?」

ユーリ「いろんな話。ノナはリサージュ図形が好きだって言ってた。だよね?」

ノナ「好き$\NONA$」

「リサージュ図形……」


ユーリ「ユーリの活躍は『数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数』で!」

「そういうの、自重……じゃ、ノナちゃんはグラフとか好きかな。たとえば、こういうグラフはわかる?」


ノナ「わかる……わかります」

「このグラフは直線で、$y = x$という式で書けるんだけど、それはわかる?」

ノナ「覚えてる……覚えてます$\NONA$」

「覚えてるんだ」

ノナ「覚えてます$\NONA$」

「$y = x$が何を表しているかはわかる?」

ノナ「$\NONAQREV$これです」

ノナは少し変な顔をしてから、グラフを指さした。

「ああ、いや、そういうことを聞いてるんじゃないよ。このグラフは直線で、$y = x$という式で表されているけれど、 この式自体がどういう意味なのかはわかるか、 ということを聞いてるんだ。 『覚えてる』とノナちゃんが答えたから、 『$y = x$を覚えてるだけじゃなくて、 $y = x$がどんな意味かを理解してるのかな』と思ったんだよ。 $y = x$という式はどういう意味なのか、ここでは何を表しているか、 どうして$y = x$という式がこのグラフを表していることになるのか、 そういうことはわかっているのかな、という質問なんだけど。ノナちゃん、どう?」

ノナ「……」

ノナは口を閉じ、急にけわしい表情になった。

目にちょっぴり涙が浮かんでいる。

はあわてた。

「いやいや、よくわからなかったら、わからないでもいいんだよ」

ノナ「意味がわからない$\NONAX$」

ユーリ「ちょっとちょっとちょっと、お兄ちゃん! ノナを泣かせるなよー!」

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』式の意味から、連立方程式、放物線の交点まで!

ケイクス

この連載について

初回を読む
数学ガールの秘密ノート

結城浩

数学青春物語「数学ガール」の女子高生たちが数学トークをする楽しい読み物です。中学生や高校生の数学を題材に、 数学のおもしろさと学ぶよろこびを味わってください。本シリーズはすでに何冊も書籍化されている人気連載です。 (毎週金曜日更新)

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

hyuki 数学ガールに新キャラ「ノナちゃん」登場! これを記念して、第241回と第242回を本日無料公開。 見逃した方もぜひどうぞ! (続く) 8ヶ月前 replyretweetfavorite

canaan1008 まさかの新しい登場人物だと…!! 8ヶ月前 replyretweetfavorite

kb84tkhr 何か教えようというとき、このレベルから話さないといけなくて途方にくれることあるんだよなあ でもこっちが途方にくれててはいけない 8ヶ月前 replyretweetfavorite