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目覚まし時計の音で目は覚めたものの、久美はなかなかベッドを抜け出せずにいた。身体がだるい。
与田との話し合いで、久美の頭の中でさまざまなアイデアが形を結びつつあった。
だが、たくさんのことが一気に頭の中に入ってきたので、消化不良に陥っていたのも事実である。
やらなければいけない課題も山積しているが、商品企画部に異動してからほとんど休みなしで働き詰めだった。疲労も蓄積している——。
「ウーン、気分転換しないとおかしくなりそう!」
こういうときは、思い切って休むことだ。決断は人一倍早い久美のこと、さっそくその日の午前中は会社を休み、久しぶりにエステに行くことにした。以前、友人に紹介されたエステサロンで、地方から東京に出張で出てきたときは欠かさず立ち寄っていた店だ。だが、今回行くのは本当に久しぶりだった。
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受付が終わって部屋に通され、オイルマッサージを受けながら、頭は自然と与田からの宿題のことを考えはじめてしまう。会計ソフトの本来のターゲットって、誰なんだろう?