桃山商事の恋バカ日誌

彼女よりも「内輪の笑い」を優先する男たち

「失恋ホスト」として数々の恋愛相談を受けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」の3人が、新感覚の恋バナ談義を繰り広げるこの連載。「恋愛と油断」中編となる今回は、ホモソーシャルと油断の関係についてです。男同士の連帯、悪ノリを優先させたことで彼女をドン引きさせたエピソードとは?

恋人の部屋の冷蔵庫問題

【登場人物】

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員

清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「恋愛と油断」について話しています。前編では油断が恋のきっかけやときめきになるという話になったよね。

森田 気を許した結果としての油断とか、自己開示的なものもあったね。彼氏が泥酔しても油断しないのがさみしかったという、ワッコのエピソードが印象的でした。

ワッコ 彼氏がいてもさみしいし、いなくてもさみしいという、さみし人生ですよ。いつかさみしさが原因で死ぬんだと思います。

清田 いきなりどんよりしないでよ(笑)。ワッコのそのさみしさは、彼氏との間に精神的な距離を感じたってことだよね。

ワッコ 遠くに感じましたね。自分自身の距離の取り方の問題でもあるとは思うんですけど。

森田 距離の詰め方は人によって感覚が違うからねえ。それで思い出したんだけど、俺は昔、彼女の家で「冷蔵庫開けていい?」って聞いて怒られたことがある。そんなこといちいち聞くな、いいに決まってるでしょって。

ワッコ 他人行儀なところが彼女にはさみしかったんじゃないですかね。

清田 でも、俺は知人女性から、今の話の真逆みたいな話を聞いたことがある。彼女は優しくてジェントルな彼氏と付き合い出したんだけど、ほどなくして家で勝手に冷蔵庫を開けたりアルバムを見たりするようになったんだって。それが彼女としては油断に感じられて嫌だったみたい。

ワッコ 冷蔵庫はともかく、アルバムは嫌ですねえ。なんでもかんでも近づけばいいってもんでもない。

森田 対外的な紳士の顔から、いきなり“相手のものは俺のもの”的なドメスティックな顔になったから、彼女は戸惑ったんだろうね。

清田 自分と他人との境界線をどの辺りで引くかという問題でもあるのかな。

森田 付き合いが長くなっていくと境界が曖昧になるよね。それで節度を守らないと相手は「悪い油断」と感じる。

清田 同じ行為でも、一回ならいいけど続けられると嫌だっていうのもあると思う。ある女性は、彼氏が元カノの話をしてくるのが嫌だと言っていた。初めてその話が出たときは興味深く傾聴したらしいんだけどね。しかも彼は元カノと連絡も取り合っていて、それも隠さなくなったのが油断に感じられたみたい。

ワッコ 一回出して怒られなかったから今後もいいか、みたいな。

清田 「特例が通例になる」っていうのは油断の典型的なパターンだと思う。彼女は別に浮気を疑ってたわけじゃなくて、マナーや気遣いが足りないのではないかと憤っていた。

森田 その彼は彼女のことを少し舐めてるよね。

ワッコ わたしは昔付き合っていた彼氏から、「どうせモテないでしょ」とか「浮気する相手すらいなそう(笑)」「お前みたいなタイプは需要がない」みたいに言われ続けたことがあるんですけど。これは油断ではないですか?

清田 まじかー。それは油断というよりモラハラでは……。

ワッコ 「俺ぐらいしかお前のこといいとか思わないから!」っていうのは、油断してる感じがするんですよ。

森田 それは、むしろ油断してないんだと思うよ。「お前はモテないから俺から離れない方がいい」って言ってるわけでしょ? ワッコの価値を下げて、自分の存在価値を相対的に上げている。彼氏としての地位を守ろうと必死になっている印象を受けるよ。

清田 相手の自己肯定感を低下させて縛るのは、モラハラ彼氏のやり口だよね。言われたワッコはどういう気持ちになったの?

ワッコ まあ、「殺すぞ」とは思いましたけど……実際には、へらへらしてしまいましたね。

清田 わかる。俺も仕事とかで、相手に明らかに舐めた失礼な対応をされても、その場ではへらへらしちゃって、あとから自己嫌悪することがあるわ~。

油断が「ホモソーシャル」を優先させる

森田 相手のことを舐めてると、それが油断の言動として現れるよね。二軍ラジオの「油断の38度線」という放送回では、元メンバーの佐藤広報のエピソードが出てきた。

清田 佐藤さんが若い頃に、当時の恋人を怒らせた話だったね。俺もその場にいたんだけど、男だけで飲み会してるときに、彼女からの電話に佐藤さんが出た。そしたら男たちが「おい誰だよ!」「女か~?(ウキャキャ)」ってイジり出して。それで佐藤さんは「彼女だよ」って言えばいいところを、「あー、デカパイデカパイ」と言い放った。

森田&ワッコ はあ(深いため息)……。

清田 彼女は胸の大きな人で、佐藤さん的には自慢の彼女だったんだよねえ。

森田 飲み会での「デカパイ」という言葉を、周りはどう受け取ったの?

清田 少なくとも「おまえ最悪だな」みたいな空気にはなってなかったです……。でも「デカパイ」という言葉は電話口から彼女に聞こえていて、佐藤さんは翌日、彼女から「あんま女のこと舐めてると痛い目にあうよ」と言われたんだって。怒るのは当然だよね。これは油断もあるし、根底に女性蔑視的な感覚もありそう。

森田 こういう事を言っても受け入れられるだろうという甘えがあるよね。

ワッコ そういえば少し前に、女友達から似たような話を聞きましたよ。合コンで知り合ってセックスする関係になった男子に夜電話したら、電話の向こうからアメフト部の集団による「出た!ビッチ!」「やりまん!」みたいなコールが聞こえたんだって。

清田 セックスしたことをネタにするその男も、はしゃいでる周りの男たちも絶望しかない……。それっていわゆる「ホモソ(ホモソーシャル)」と呼ばれる世界だよね。ホモソは“男の絆”や“男同士の連帯”を意味する言葉で、男子校的なノリをイメージしてもらえると一番わかりやすいかなと思う。かくいう俺も中高一貫の男子校出身で、かつては男の悪ノリ優先主義みたいな価値観にどっぷり浸かってました。その世界では「面白いやつ」「バカをやるやつ」が一目置かれがちで、自分自身それについていこうと必死だった。

清田代表の懺悔その①~スワンボート事件~

森田 清田代表が大学生のときに起こした「スワンボート事件」は、ホモソと油断の関係を考えるにはうってつけのケースだよね。

ワッコ スワンボート!? 代表、何やったんですか?

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桃山商事の恋バカ日誌

森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1000人以上の男女から恋のお悩みやエピソードを聞き続けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」がお届けする、新感覚の恋バナ談義。普段ほとんど語れることのない恋愛の様々なテーマを毎回ひとつ取り上げ...もっと読む

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kanimaster “23206” https://t.co/NF0Ug70wmx #恋愛 #男女 #セクハラ 6ヶ月前 replyretweetfavorite

clean_high ホモソーシャルの悪ふざけ男は、仲間内でも尊敬されてない。自らピエロになるオモチャとして男に遊ばれるイメージ。当たり前だけどね / 他10コメント https://t.co/Ar15iymfJ3 “23206” https://t.co/riEBSNMSjy 6ヶ月前 replyretweetfavorite

clean_high ホモソーシャルの悪ふざけ男は、仲間内でも尊敬されてない。自らピエロになるオモチャとして男に遊ばれるイメージ。当たり前だけどね / 他10コメント https://t.co/Ar15iymfJ3 “23206” https://t.co/riEBSNMSjy 6ヶ月前 replyretweetfavorite

msmsm_msm 連れ合いと「夫婦仲が… https://t.co/Up5IYNUXOj 6ヶ月前 replyretweetfavorite