山口 勉さん(パパママハウス代表取締役)/59歳
銀行の役職定年前に転職し、
投資ファンドを利用して倒産の危機から脱出する
地方銀行に勤めて30年の山口勉さんに「助けてほしい」と声が掛かったのは、55歳を間近に控えた2014年のこと。相手はオーダーメードの家の建築設計事務所「パパママハウス」を経営する小学校時代からの親友だった。「体調が悪く全力で働けない。財務状態も悪い。うちに来て立て直してくれないか」と請われた。
同社は名古屋でスタートし、当時は東京と大阪にも拠点を置いて、年間に70棟を施工。強いこだわりを持つ人に人気が高く、山口さんも憧れを抱いていた。
「これもいい機会なのか」と考えた。実は山口さんにも病気があった。52歳のときにがんが見つかり、数年の治療の末、54歳でぼうこう摘出。それまでは支店長や部長を歴任していたが、やりがいのある仕事から外れてしまっていた。
「思いの外元気で、まだまだ現役で働ける意欲も体力もあった。55歳の役職定年が迫っていたし、家族も賛成してくれたので」と山口さんは振り返る。しかし、転職後は並大抵の苦労ではなかった。
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