振付師が頭を抱える「キャッチーにして」というオーダー

振付師・竹中夏海さんによる、アイドルダンス連載。今回は「キャッチー」なダンスについて考えていきます。振付の打ち合わせで必ずと言っていいほどオーダーされる「キャッチー」。その定義について向きあった結果、竹中さんはどのような答えを導き出したのでしょうか。
振付ユニット・CRE8BOYさんとの対談でも「キャッチー問題」について語っています。あわせてお楽しみください。(カバー画像:F*Kaori

振付師はどのように振付を考えているのか

振付師をしていると「振りってどんな風に作るんですか? 降ってくるの?」なんてことをよく聞かれます。降ってくるのか、湧いてくるのか、はたまた突如ひらめくのか、その感覚はさまざまだと思いますが、私の場合は“導かれる”という表現が近いと思います。振りを考えながら曲を聴いていると、その音に合わせてどう動けば気持ちいいのか、自然と大枠が見えてきます。これは、0から1を生み出す作業というよりも、土から化石を発掘するような感触と似ているのではないかと思います。振付の糸口は必ず、音楽の中にあるからです。

メロディやリズムのほかにも、たとえばクラシックバレエやオペラ、ミュージカルのような演劇的内容を持つ作品の場合には、その物語が振付のヒントになります。筋がないものでも舞踊にはテーマを設けることが多いので、ぼんやりと見えてきた振付の輪郭をはっきりさせるためには、それらが大きなヒントとなります。現在では一括りにできないほどジャンルが多岐に渡るアイドルソングにも、歌詞は必ずあります。そのためアイドルダンスでそれを表現する振付は、欠かすことのできない要素となっています。歌詞は振りを作る旅を導く地図になるのです。

もちろん、昭和にアイドルが歌謡曲で歌い踊るようになる以前から、歌詞と動きが直接リンクしているダンスは存在しました。代表的なものでいえば、ハワイの民族舞踊で有名なフラダンスでしょうか。歌詞に合わせたハンドモーションと呼ばれる腕の動きが知られています。古代、まだ文字を持たなかったハワイ先住民にとって、舞踊とは娯楽や宗教的な儀式のほかに、ハワイの歴史や神話を記憶し伝達するための大事な手段でした。文字の代わりという役割があるため、手話のように「私」「太陽」「花」「波」「愛」など、それぞれの言語に対してひとつの決まった動きがあります。

振付師が頭を抱える「キャッチー問題」
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半世紀にも渡って続いているアイドルの歴史。そんなアイドルの変遷と、常にともにあったのがアイドルの「ダンス」。この連載は、ときにアイドルの魅力を引き出し、ときに魅力そのものにもなった「アイドルダンス」をまとめるプロジェクト。アイドルをは...もっと読む

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コメント

id_hoven #utamaru 島袋寛子世代の竹中夏海さんが生まれる前のピンクレディや松田聖子、中森明菜等々を研究してるのか。(期間限定無料公開記事) 8ヶ月前 replyretweetfavorite

tknkntm 茶の間からライブへ。恋チュン、TikTok、日本人に合うダンスのルール https://t.co/iAsSh0U18V #utamaru #アトロク 8ヶ月前 replyretweetfavorite

tknkntm 明日はTBSラジオ #アトロク におじゃまして[アイドルダンスの歴史をマイク視点で見ると何がわかる?特集]するよ🙌 【新着】 https://t.co/qXQu46uVbI… https://t.co/jR5Js1OHEO 8ヶ月前 replyretweetfavorite