オフィスハック

ライバルは時に最強の味方になる

「これぞ日本版キングスマン」「スカッとする!」「早く映像化して」Twitterで話題のスパイアクション小説『オフィスハック』より第2話「ミニマル製菓の社内調整」をリバイバル連載。(あらすじ)「うちの不祥事を世間様が知る前に社内調整せよ」東京丸の内の大企業T社。人事部直轄の特殊部署「四七ソ」に今日も新たな指令が下る。年の差バディ香田&奥野がスーツに身を包み、オフィスでクソ野郎共を撃ち殺す!


◆21◆


「「「ウアアアア—ッ!」」」

 追い詰められたならず者社員たちが、手に手に銃を持って襲いかかる。

 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!

 背後を突かれたおれ達は、乱戦に巻き込まれた。

 四七ソは率先して机の上に飛び乗り、調整慣れしていない事務方を守りながら戦わなくちゃいけない。

 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!

 銃弾が集まる。ここまでは想定内だ。

「マズ……」

 酷使し続けていたおれの防弾ブリーフケースが、ついに取っ手部分から壊れた。現場を立て続けに3つもこなすのは流石に無茶だったのだ。順調な井上とアスカンにいったん任せ、おれは机から飛び降りて、パーティションの陰でマガジン交換を試みた。

 その時だ。オフィス観葉植物の背後から、ダニートレホに似た、いかついならず者社員がヌッと現れた。

「人事部の犬どもを皆殺しだ—ッ! T社なんざ潰れちまえ—ッ!」

 その手には、ソードオフ・ショットガン。なんでこいつを見逃してたんだ。

「香田さん……!」

 数メートル離れた場所で、奥野さんが気づいた。奥野さんは支援射撃を行おうとする。だが遠い、遠すぎる。

 おれは反射的に手をかざし、頭を下げた。もうだめだ。

 BRAKKA!!

 ソードオフ・ショットガンの一撃が放たれた。

 だが……おれはまだ生きていた。

「香田さん!」

 BLAMBLAMBLAM!

 奥野さんの声と銃声!

「アーッ!」

 厳つい髭のショットガン社員は後頭部に銃弾を食らい、そのままゆっくりと仰向けに倒れ、赤いヨガボールの上でバウンドした。

 BRAKKA!

 そのはずみに、絶叫じみたショットガンの最後の一撃が、天井に向かって吐き出された。

「ナイッシューです、奥野さん……」

 おれは恐る恐る顔を上げ、目を開いた。いったいおれは、どうやって最初の射撃をしのげたんだ?

 その答えは、おれを守る防弾ブリーフケースのファランクスだった。おれを助けてくれたのは、男女二人のツーマンセルだった。

「五六シス……!」

 おれは驚いて口に出していた。雨宮は小さく頷いた。

「今回の衝突は、外部コンサルタントのクロキによって仕組まれた策略と判明。第一人事部と第二人事部の共倒れを画策したものと、第二人事部は判断しました」

「これより、四七ソと協調して事に当たります。……香田さん、すみませんでした」

 片桐が言い、即座に反撃の調整を開始した。

 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!

 おれに背を向けたまま、五六シスのバディは見る間に戦線を押し上げていく。

「「我々は五六シスだ! これより直ちに社内調整を開始する! 抵抗する者は全員この場で容赦なく調整する! これは最終調整だ! 繰り返す! これは最終調整だ!」」

 ああそうだ、こいつらは態度より行動で返すタイプだった。認めるのもシャクだが、こんな時は流石に頼りになる奴らだ。

「だから言ったじゃない、香田ちゃあン」

 室長がおれの肩を叩いた。

「身内疑ったって始まらないってさア」

「本当、そうですね、すみませんでした。あいつを絶対に仕留めます」

「健康管理行かなくて大丈夫?」

「まだいけます」

「頼むよ」

 室長がおれの肩を叩き、送り出した。そこからおれたちの攻勢が始まった。

 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!

「奥野さん」「はい」

「後方のミニマル製菓社員を守るため、うちもファランクスでいきます」

「了解です」

 おれたちは肩を寄せ合い、銃弾を弾きながら前進した。横をちらりと見ると、井上とアスカン、室長も応戦している。

『なンで私はここで見てるだけかなァ!』

 鉄輪が不満そうに唸った。多分そういう血に飢えたところのせいだよ。

 BLAMBLAMBLAM!

 おれと奥野さんはデスクの上に飛び乗り、高所の利を使って周囲の敵をどんどん調整していった。

 東の窓から差し込む午後の光が、いやに眩しかった。そこらじゅうでデスクの書類束が鳩の群れのように舞っていた。

 四七ソから5人、さらに五六シスの正社員2人がいる状態で、ならず者社員たちに勝ち目は無かった。だが、おれの狙いはそいつらじゃない。おれは気を引き締めた。そして獲物を見据える。堕落した社員を盾として逃げ回る、クロキを。

 BLAMBLAMBLAM !

 おれと奥野さんはクロキを追い詰めていく。クロキは狡猾なテイルゲートで社員の陰から陰へと飛び渡り、物陰からの射撃でおれたちを翻弄したが、室長のザ・ウォッチがそのたびに奴の居所を看破した。

 今度こそ逃がすもんか。サカグチの二の舞はごめんだ。

 おれは廊下を駆け、必死にクロキを追った。

 やつは逃げながら、後方に何発も打ち込んでくる。振り向きざまだってのに、なんて精度だよ。おれと一緒に駆けていた第二人事部の事務方二人が、頭を撃ち抜かれて死んだ。仲間がいなかったらおれも危なかった。間一髪でそれをかわし、狙いを定めて、撃った。

 BLAM !

 銃弾が貫通し、クロキのスラックス左腿の前後ろ両側、まるで火薬でも仕込んだかのようにパンと爆ぜて、丸い穴が空いた。

「しまった……!」

 クロキはエレベータまであと一歩のところでつんのめり、転がった。

 拳銃がシャーッと床を滑り、壁にぶつかった。

 おれはそれを靴で踏みつけて奪い、銃口をクロキに向けた。

「サカグチのこと、知ってるよな?」



◆to be continued......感想は #dhtls でつぶやこう◆

オフィスハック

本兌 有,杉 ライカ,オノ・ナツメ
幻冬舎
2018-04-19

この連載について

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ダイハードテイルズ

これぞ日本版キングスマン/会社あるあるが笑える/スカッとする!/早く映像化して! などTwitterで話題のスパイアクション小説『オフィスハック』(著:本兌有・杉ライカ、画:オノ・ナツメ)をリバイバル連載!(あらすじ)「ウチの不祥事が...もっと読む

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