春香クリスティーン(以下、春香) 細野さんはいつ頃、原発の勉強をされたんですか?
細野豪志(以下、細野) 原発の技術的なことに関しては3.11の直後に必死にやりましたし、エネルギー全般のことはそれ以前から勉強を重ねていました。民主党は政権をとる前から再生可能エネルギーの重要性を訴えていたんですよ。
春香 そうだったんだ! 知らなかったです。私は再生可能エネルギーに興味があるんです。3.11以降、エネルギーの方向性はだいぶ変わってきましたよね。
細野 そうですね。震災があって国民の意識が大きく変わりましたし、エネルギーの買い取りの仕組みや制度も変わりました。再生可能エネルギーこそ、国をあげて取り組むべきプロジェクトだと私は思っています。太陽光、風力、波力などいろいろありますが、なかでも地熱発電が安全で経済性も高いと期待しています。
春香 『未来への責任』に、国立公園内での地熱開発の決断に3ヵ月もかけたと書いてありました。あれはその後どうなっているんですか?
細野 今、福島や秋田でも計画が進んでいます。掘り始めて発電できるようになるまでに10年近くかかってしまうのですが、でも少しずつ進み始めている。温泉を利用するバイナリー発電など、規模の小さいのはちょこちょこできていますよ。将来、再生可能エネルギーが主流になればエネルギーの分野も地方分権が進み、エネルギーの地産地消が可能になるかもしれません。
春香 いろいろ課題はあるかもしれないけど、少しずつ前進しているのはうれしいな。希望が持てます。再生可能エネルギーのほかに、民主党として進めていきたいことはどんなことですか?
細野 中央に集中している権限を地方に戻して、地域のつながりを深め、お互いに助け合える仕組みを作りたいと思っています。今は介護や孤独死、自殺など、政府が音頭をとってもすぐには解決しきれない問題がたくさんあります。政府の役割を地域に代わってもらうということではなくて、地域やNPOなど小さな組織が連携してつながりを深めていけば強い社会が生まれ、そこに暮らす人が幸せになると思うのです。
春香 「助け合い」がキーワードですね。
細野 そうです。助け合い、共に生きる「共生社会」を民主党は目指しています。本にも書きましたけど、フランス革命で自由、平等、博愛ってありますよね。どれに価値を置くか、すごく難しい。私としては自由と平等で迷ってきて、結果的に博愛に行き着いた。博愛って言葉としては甘っちょろいけど、助け合って生きていく気持ちですよね。これは強要しなくても日本人がもともと持っているもの。その気持ちや人と人のつながり、地域の活動を政府が後押しすれば、日本はもっと良くなると信じています。
政治家はタフであれ。
春香 もうすぐ参議院選挙です。選挙で勝つためにはどんなことが必要ですか? 私は『未来への責任』にあった、「自分が地元に戻らなくても選挙に勝てる地盤を10年でつくれ」という小沢一郎さんの言葉が印象に残っています。さすが“選挙の小沢”だ!って(笑)。
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