「あれは無理があった。当時、理想を掲げた(中国)人たちでさえ、今はほとんどが『夢物語だった』と思っているんじゃない?」
都内最大のネオ・チャイナタウンを抱える豊島区・池袋で働く新華僑の中国人男性は、10年前の騒動をそう振り返った。
「あれ」とは、2008年8月の北京五輪の開幕に合わせ、池袋駅かいわいの中華料理店や物販店などが立ち上げた「東京中華街促進会」による通称「ネオ・チャイナタウン構想」のことだ。
池袋駅周辺に存在する約200軒(当時)の中国人が経営する各種店舗を組織化し、「トウキョウチャイナタウン池袋」というブランドで観光地化を図るというこの構想は、地元日本人社会への根回しさえなく、かねて治安の悪化やごみの不法投棄などに悩まされていた日本人たちの猛反発を受け、立ち消えとなった。
日本人の地元商店会「池袋西口駅前名店街」の関係者は、「当時の騒動からようやく落ち着いてきたところ。今でも中国人との交流はほとんどない」とため息交じりに回顧した。
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