まず、聞き上手になること
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
僕は渋谷の暗いバーで、全員酔っぱらっている人と21年間お話をして、それで「あ、そんなときに恋に落ちるんだ」とか「そういう男性のこと嫌いなんだ」とか聞き出して、「この話、書いても良いですか?」って確認して、こんな文章を書いているんですね。
「人間に一番大切なことは何か?」と聞かれたら、僕は「誰か知らない人と会話をすること」と答えます。やっぱり世の中には色んな考え方を持った人がいたり、色んな僕の知らない経験をした人がいたり、色んな面白い新しい情報を持っている人がいるんですね。そんな人たちと会話をすることこそが、人の考え方や感じ方を深く豊かにすると思っています。
たまに、書き手で「インターネット上だけの情報」あるいは「テレビだけの情報」の人がいて、やっぱりそういう人の書くことって退屈だし、どこかで見たことある内容だったりします。新しくて面白い自分だけの言葉をほしくなったら、誰か知らない人と話すことだと僕は信じています。
さて、そんなことをたまに書いたり言ったりしているからか、「あなたにとって会話術とは?」みたいなことを聞かれたり、取材されたりすることがあるんですね。今回はそんなことを書いてみます。
会話術というと、必ず「聞き上手になれ」とよく言われます。やっぱりデートの時、自分の話ばかりするよりも、聞き上手な人の方が良いでしょう。でも、聞き上手って何でしょう? 最近流行のマッチングアプリなんかで知り合った二人だったりすると、会話が上滑りしてしまうそうです。お互いの共通の知人や、仕事場や学校のような共通の場所がないから、「好きな食べ物は?」とか「休みとかどうしてるんですか?」にただ答えて、「一問一答」スタイルの会話になってしまって、なんかロボットを相手に話しているようになってしまうんですね。
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